「極悪女王」の主役は演技テストも経て決定
境 レスラー役はオーディションで決めたと聞きました。ダンプ松本役はゆりやんレトリィバァさんありきで企画したとしか思えませんでした。
髙橋 鈴木さんの企画書にはダンプ松本のキャスティングまでは書いてませんでした。本当にフラットにオーディションでゆりやんさんに決まったのです。当時、彼女がダイエットした直後だったので、筋肉をつけてもらうのは大丈夫ですかと確認し、演技テストも経て決まりました。
境 クラッシュギャルズを演じた剛力彩芽さん、唐田えりかさんは華奢で、よくこのお二人に決めたものだと思いました。
髙橋 撮影時は身体を作ってもらいましたが、オーディション時はそれ以上に本当に華奢な線の細い体格でした。でも、お二人から出てくるオーラ、そしてこの役に賭ける思いが滲んでいたので、鈴木おさむさんや白石監督の意見も満場一致でお願いしたいと思いました。
境 物語の流れで不思議に思ったのが、松本香はいつダンプ松本になるのか。ずーっと優しい松本香だったのが、全5話の3話目の後半でやっと世紀の悪役、ダンプ松本として登場しました。
髙橋 Netflixの配信において適切なストーリーテリングなのか、僕にとってもチャレンジでした。配信サービスの特性上、途中で見るのを止めてしまえるので、インパクトが強いシーンをどんどん作っていくのは1つの手法ではあります。
でもこの物語で伝えたいのは彼女の心の変遷です。3話の転換までに彼女が何を見て、どう感じてきたか。あんなに優しい松本香がダンプ松本になる瞬間を、お客様に見つめてほしいと鈴木おさむさんや白石監督たちと考えました。泣ける物語として作ってはいませんが、きっと5話まで見ていただいた方は彼女たちの生き様に涙すると思っていました。
ダンプさんたちが進んできた道のりは誰の人生でもあることだと思います。うまくいかなくて、もがいて、理想のゴールと違う方向に行かなきゃいけないこと、その中で生まれる葛藤。その普遍性は入れたかった。
Netflixシリーズ「極悪女王」(Netflixにて独占配信中)













