「おかしいと思うことはおかしいって言わなきゃ」

――やり直しの裁判が決まるまで非常に長い時間がかかりました。再審制度に対して感じていることは?

やっぱり再審制度はね、もっと早くやればできると思う。

私たちは知らないから、そのままにして「お上がおっしゃる通り」でやってたんですがね。

再審法の改正をするとか、何らかの方法で改正をしていただかないと、巌が48年拘置所に入っていたってことが何にもならなくなるんですよ。

48年、巌が(拘置所に)入っていたってことはね、それこそ大変苦労してる。

だから、(無罪判決が出たからといって)それでいいとしてはいけないと思って、再審法の改正には、皆さんにお力をお借りしたいと思っております

――新しい政権や国会でも再審制度を見直す議論をしてほしいと。

もちろんそうです。

国会でも働きかけておりますがね、今のところまだそれこそまだ決まったばっかりですので、まだはっきりいたしません。

これから大いに改正再審法なり、進めていっていただきたいと思っております。

――これから巌さんのような目に遭う方が出ないために、警察や検察などの体制についてはいかがでしょうか?

これはもう一番最初、清水の警察の調査っていうのはね、ずさんなものがあった。だからこういうことになったと思う。

だからそういうこともないように、これは注文というか、警察に注文をつけることはおかしいんですがね。

捕まってしまって警察に調べられると、即犯人とみなすというか、世間でもそうですがね。

どこでもそうですが、みんな親子・きょうだいも「警察に調べられるような者は、ろくなもんじゃない」とかって言って見捨てちゃうでしょ。

そういうことのないようにね、身内がやっぱりしっかりして、おかしいと思うことはおかしいって言わなきゃ。それを口をすぼんでしまう、私たちもそうでした。

一番最初はね、もう「黙ってるしかない」と思って、どんなひどいことを書かれようが言われまいが、黙って。

母親じゃないが、世間を狭くして、無駄ねって言って亡くなっていきましたがね。

世間を狭く生きるっていうことは大変なことなんです。

そういう生き方をするよりも、ちょっとおかしいんじゃないかっていうことがあれば、堂々と行動に移らないと、また冤罪というものは続くと思います。