人を採用しようとすると「保育所ありますか?」と聞かれる
自身も看護師や助産師として50年近い経験があるという「もこもこ保育園」の錦古里光子園長。企業内保育所を設置した背景には深刻な「人手不足」があったといいます。
▽錦古里光子 園長
「やっぱり人の確保、民間企業なので、いかに働く人を確保するかとなったら、“保育所ありますか?”ってやっぱり聞かれるんですよね」

子育て世代の離職率が高い医療現場。働き手を確保するには、企業内保育所が必要不可欠でした。しかし働き手不足は保育の現場も同様。保育所も“持続可能”であるために、病院側と協調して課題を解決しています。
▽錦古里光子 園長
「保育所側の保育士も『病院の職員』なので、一方だけが “働き甲斐” とか “ワークライフバランス” と言っても、保育所で働く人にも小さいお子さんを抱えている人がいる。同じように考えないといけないと思うんですね」
当初は、保護者の夜勤に対応した夜の預かりや、日曜日にも開けていた「もこもこ保育園」ですが、保育士側の負担が問題となったことをきっかけに、病院側の医療従事者の時短勤務制度を整備するなど、働き方を変化させてきました。

▽錦古里光子 園長
「保育所だけじゃなくて病院側も、お子さんのいる親をどう支援していくかと、一緒になって考えていかないといけないかな」
子を持つ親が、命と向き合う現場で働き続けられるよう背中を押すのは、企業内保育所と職場の地道な取り組みでした。
<記者MEMO>
医療人材の確保が難しい病院側は、例えば看護師を1人採用するたびに、仲介会社に数十万円から100万円を超える報酬を支払う必要があります。離職者を補う採用が多くなりそうした支出が増えていくよりも、従業員の働く環境整備に投資して、人材の確保に努力する方がメリットがあると錦古里園長は話していました。
好きな仕事も続けながら、子育てにも十分に向き合うことができる環境を確保するため、社会の変化が求められています。(取材 上江洲まりの)