仮設も浸水 2度住まいを失い…
豪雨は無情にも、生活再建を目指す人々に追い打ちをかけた。輪島市・宅田町の仮設住宅で暮らす78歳の大崎トキ子さんはこう話す。

大崎トキ子さん
「玄関先で(水が)ひざ下くらいまで来た。今ボランティアさんに頼んで掃除してもらったとこなんですよ」
大崎さんが息子一家とこの仮設住宅に入居したのは8月初め。運び入れたばかりの家財道具は泥水に浸かり、この日処分したという。

――大雨のときは仮設住宅の中にいた?
大崎さん
「はい。(水が)玄関や窓から入ってきたし、床からも空気みたいにポコンポコンって上がってきて。小学校の孫2人と留守番をしていたのですが孫が『怖い怖い、ばあちゃん怖い怖い』と言うので、棚の上に孫2人を乗せました。『下りたら駄目よ』と言いながら、電気のコードや電気製品も上にあげました」
仮設住宅のすぐ隣を流れているのは河原田川だ。仮設住宅は堤防よりも低い位置にあり、流れ込んだ泥水が溜まったままだ。

大崎さん
「電気は通っていますが、水道はまだ出ません」
地震以来2度目の断水で部屋の掃除も容易ではない。
大崎さん
「今年は元日からすごい事ばっかりある、災害ばっかり」

ハザードマップでは、仮設住宅の場所は洪水が起こった場合の浸水の深さは最大5mが想定されていた。輪島市内の仮設住宅の6割は、こうした浸水想定区域に建てられている。
石川県の馳浩知事が22日、床上浸水した仮設住宅を訪れた。

住民
「せっかくの仮設住宅だけど住めないです」
馳知事
「その状況じゃないね」
住民
「(復旧を)早いとこお願いします。住むところがなくて弱っている」
平地が少なく、リスクがある場所でも仮設住宅を建設せざるを得なかったと県は説明するが、復興はさらに遠のいてしまった。
仮設住宅が被害に遭った大崎さんが、以前住んでいた自宅を案内してくれた。

大崎さん
「大きい木が倒れていますが、その下に家があります」
地震で傾いた家には今回の豪雨でさらに土砂が流れ込んでいた。
大崎さん
「仮設住宅に避難していたから助かった。もし今回の豪雨の時に家にいたら怖かっただろうね。いなくて良かったって言ってたけど、もう住める状態ではないです」
住む場所を2度も失った大崎さん一家は今、地震直後に避難していた公民館に再び身を寄せている。

――また公民館に来て生活はどう?大丈夫?
小1の孫
「普通。大丈夫」
大崎さん
「避難所慣れしているからじゃない?地震のときは(避難している人が多くて)狭かったから、体を小さくして寝ていた。やっと仮設に慣れた頃に(入居から)1か月ちょっと経って、またここ来るとは夢にも思ってなかった。大変だけど仕方ないしね。こうやっていられる場所があるだけでも助かります」














