被災地を支える住民の願いは

輪島市内で20年以上にわたり美容院を営む、高響子さん。この店も豪雨で大きな被害に見舞われた。

山本恵里伽キャスター
「本当に全部浸かってますね」

雨が降り始めると、水はじわじわと扉の外から侵入。その後、勢いを増し、あっという間に床一面を覆い尽くした。

高響子さん
「慌てて下に置いてあるものを上げたんですよ。だから最小限の被害だったんです」

元日の地震で水道が止まり、店は休業を余儀なくされたが、ひと月足らずで再開。ようやく軌道に乗り始めた矢先だった。

高さんは、地域の人たちにとって「美容院は憩いの場でありたい」と考えている。浸水から3日後、ボランティアの力を借りて店を復旧させた。

――こういうふうに美容室が開いてるというのも?


「助かるよ。家にいると1人だから、テレビとにらめっこ。イライラしたらここへ来て髪をバッサリ切ってもらう」

元日の地震の際に高さんは、自ら被災しているにもかかわらず、避難所に行けないお年寄りたちの家を一軒一軒回り、物資を届けた。

鵠巣地区は、震災から5か月後に断水は解消したが、豪雨で水道管が破損。再び水が通らなくなった。

今回も高さんは、そんな不自由さを解消するため、地域のボランティアの人たちと共に、連日、生活用水を届けている。

住民
「全然水が来てないし、道が崖崩れで通れない」

家の裏を流れる川は大雨で氾濫。水は濁流となって道路にまで溢れ出ていた。

住民
「ゴロゴロという石の転がる音は聞いた」

――地震があった後にまたこういうのは厳しいですよね?

住民
「うん、天のあれやし」

断水が続く鵠巣地区では、今回の豪雨で道路も激しく陥没した。

麻窪泰彦さん
「ここに車が1台あった、軽自動車。片側が完全にタイヤが出ていた。地震でまだ緩んでいたんじゃないですかね。ひどい雨で緩んだところが脆くなって流れたんじゃないかなと思う。もういい加減にしてくれよね」

高さん
「本当に疲れていると思います、みんな、心が。体はもちろん、心が相当疲れていると思う。日本のトップの人たちは、どういう人が困っているのか、そういうことをしっかりと見ていただける、目線をもっと下げていただきたい」