過ぎていない「喉元」
自然災害も原発事故も、幸いにも大きな被害に遭わなければ、喉元を過ぎて忘れ去ってしまうものかもしれません。
ひとたび原発で大きな事故があれば被害が甚大なことは知っていても、だんだん目先の電気料金などに気をとられてしまう。
そうした中で、デブリ取出しなど原発廃炉に向けた作業の報道に触れると、「そうだ、喉元なんて過ぎていないんだ」と気付かされます。
なにせデブリは全部で880トンあって、今回出直しになった試験的な取り出しは数グラム程度。本当に「廃炉は続くよどこまでも」です。
注1:省エネ法は2023年4月に「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」に改正・施行されました。
注2: 正しくは「喉元過ぎれば熱さを忘れる」で「暑さ」ではないですが、「苦しい経験も、過ぎ去るとすっかり忘れる」(新明解国語辞典第八版)という意味ではあてはまると思います。
注3:1999年9月30日、茨城県東海村にある核燃料加工施設で発生した原子力事故で、作業員2名死亡、1名重症、667名が被曝したそうです(ウィキペディア)。
引用文献
・資源エネルギー庁ウェブサイト「省エネポータルサイト」 2024年9月23日閲覧
・「東海村JCO臨界事故」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』
・原子力規制委員会ウェブサイト 2024年9月23日閲覧.
<執筆者略歴>
江利川 滋(えりかわ・しげる)
1968年生。1996年TBS入社。
視聴率データ分析や生活者調査に長く従事。テレビ営業も経験しつつ、現在は法務・コンプライアンス方面を主務に、マーケティング局も兼任。
【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版(TBSメディア総研が発行)で、テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。2024年6月、原則土曜日公開・配信のウィークリーマガジンにリニューアル。