ペットボトル飲料の販売や使い捨てプラ持ち込みは禁止

二酸化炭素の排出量削減を目指す取り組みは、競技会場や、関連イベントが行われている会場でも行われていた。それは、ペットボトル飲料の販売禁止と、マイボトルの利用の推進だ。

デポジット制のカップ

飲料を販売するコーナーでは、デポジット制のカップが使われた。飲み終わった後に返却すれば、クレジットカードに2ユーロが返却される。各会場に多くの観客が詰めかけていたものの、返却専用のブースが設置されていたことで、特に混乱も起きていなかった。

2ユーロを返却するブース

マイボトルを持っている来場者も多かった。パリ市内には給水スポットが設置され、誰でも水を無料で飲むことができる。ただ、日本人にとってやや驚きだったのが、競技会場内の給水スポットだ。

会場内で給水スポットを示すマーク

給水スポットになっていたのは、トイレの手洗い場だった。もちろん、飲料水として使うことに何の問題もない。訪れた人たちは特に気にすることなく、マイボトルの給水を行っていた。

手洗い場で給水する人々

フランスでは、2020年からプラスチック製の使い捨て容器や食器の販売を禁止する法律が施行されている。競技会場では使い捨てプラスチックの持ち込み自体が禁止された。

日本国内でも、サッカーJリーグの会場などで、リユースカップの利用が行われているケースがある。ただ、パリ2024大会の脱プラスチックと脱ペットボトルの取り組みは徹底していた。

オリンピックとパラリンピックの閉会式と陸上競技が開催されたスタッド・ド・フランスは、8万人の収容が可能な巨大なスタジアムだ。ペットボトル飲料の販売や使い捨てプラスチックの利用が許されていたとしたら、この会場だけでも両大会が開催されていた期間中に莫大な量が消費され、ごみとして出ていただろう。

大会のために大きな会場は新設せず、ペットボトルや使い捨てプラスチックは禁止する。「持続可能性」を目指すことは、そのまま大会のレガシーにもつながっていく。

後編では、パリ2024大会の「デジタル化」と「バリアフリー」について見ていきたい。

(「調査情報デジタル」編集部)

【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版(TBSメディア総研が発行)で、テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。2024年6月、原則土曜日公開・配信のウィークリーマガジンにリニューアル。