世界的な観光地に作られた仮設の競技会場

仮設の施設が作られた場所も、パリの歴史が感じられる場所だった。その多くが、パリ市内にある世界遺産や観光名所。エッフェル塔、ヴェルサイユ宮殿、コンコルド広場など、世界的な観光地の中にスタジアムがあるのは、これまでの大会では見られない光景だった。

シャン・ド・マルス公園に作られたエッフェル塔スタジアム

開会式が競技場以外で行われたのも初めてだ。オリンピックの開会式はセーヌ川で、パラリンピックの開会式はシャンゼリゼ通りとコンコルド広場の仮設会場で開催され、各国の選手団の行進を無料で観ることができた。

仮設会場で使用されたのは、再利用が可能な資材。オリンピック開催中にメダリストたちを祝福する会場だったトロカデロ広場のチャンピオンズパークや、コンコルド広場の仮設会場は、利用が終わると早々に解体工事が進められ、資材は分別して回収されていた。

解体されるチャンピオンズパーク
コンコルド広場の仮設会場はパラ開会式後に解体

一方で、新たに建設された会場は、環境に配慮された建物になっている。パリ北部に新設されたポルト・ド・ラ・シャペル・アリーナは、外面の80%が緑で覆われているほか、リサイクル素材のアルミなどの資材が使われた。アリーナは今後、地元のプロバスケットボールの本拠地などとして利用される予定だ。

ポルト・ド・ラ・シャペルアリーナ

このアリーナをはじめ、選手村などの新設された建物は、大会後の利用方法が明確に決まっている。スポーツ施設以外にも、公共施設や住宅、オフィスなどに利用できることを前提に設計が行われていた。そしてどの施設も、再生可能エネルギーが利用されるなど、環境に配慮していることが大前提となっている。