全日本実業団陸上(山口市維新百年記念公園陸上競技場)が9月21~23日の3日間、山口市の維新百年記念公園陸上競技場で行われ、大会2日目に中大卒のルーキー2人が好走した。男子1500mでは中野翔太(23、Honda)が3分41秒47で優勝。中距離種目でもスピードがあることを示した。男子10000mは吉居大和(22、トヨタ自動車)が28分13秒10で日本人トップの7位。中大時代には箱根駅伝で区間賞を獲得した2人が、実業団でも順調なスタートを切った。
狙い通りの展開に持ち込んだ中野
中野は好結果の要因として、レース展開が自身に合っていたことを挙げた。
「(ペース的に)1周目が60秒、2周目が60秒で余裕を持つことができました。(展開的にも)しっかりついて行ってラスト100mから50mくらいで差せればと考えていましたが、その通りにできましたね。最後に出し切るレースが最近なかったので、1500mは専門種目ではありませんが、最後に(自身の体を狙い通りに)動かして勝つことができてよかったです」
今大会では3分44秒58の自己記録更新が「最低目標」だったが、「良い流れになれば3分30秒台も視野に入れながら」と考えていた。次週のアスレチックスチャレンジカップ(新潟)5000mで「悪くても13分30秒切り、メインの目標は自己記録(13分24秒11)の更新と13分20秒切り」につなげることが、全日本実業団陸上で1500mに出場した目的だった。
3分30秒台と13分10秒台は、数年前なら快記録と言われたタイムだが、中野は「当たり前に出したい」と言う。「日本のトップで戦うにはそういうタイムが必要になってくるし、その上の世界で戦っていきたいと思っていますから」
1500mで3分30秒台を目標に設定したのは、吉居が5月の中部実業団で3分39秒75を出していたからでもあった。前年までは同じチーム内でのライバル関係が、今年からは実業団ライバルチームの選手として良い形で続いている。
終盤で先頭に立つ積極性を見せた吉居
男子10000mは国内実業団チームの外国人選手たちが先頭集団を作り、日本人選手は9000m付近から吉居1人だけになっていた。残り500mで吉居がトップに立ったが、最後は優勝したエバンス・ケイタニー(24、トヨタ紡織)らに及ばず7位だった。
「走りながら、このまま付いて最後に離されるより、自分で行った方が絶対にいい、と考えていました。ケニア人選手が多く出場していましたが、自分で仕掛けて入賞ができたので、意味のあるレース展開ができたかな、と思います」
6月の日本選手権5000mは20位(13分42秒59)だったが、5月の中部実業団1500mでは3分39秒75の好記録で優勝した。「自分でもビックリするタイム。1500mはこうやって走れるんだから、しっかり練習を積めば5000m、10000mも走れるという気持ちになれました」
今大会に向けても「ある程度良い練習」が積めていた。「本当につけるか不安もあったのですが、一旦ペースが落ち着いたりした中でうまく自分の体を奮い立たせ、絶対離れないぞという気持ちで付くことができました。ラスト3000、2000あたりからは余裕を持てる走りになっていたので、良いレースができたんじゃないかと思います」
同じ日に行われた1500mで、中野が優勝するレースを見ていた。「最後に行かれたかな、と思ったんですよ。(記録を)抜かれなくてよかった」と、元チームメイトらしさが感じられる言葉でライバル意識を表現した。