政府は“再発防止をお願い” 強く主張できない背景に日米地位協定
沖縄でこうした事件が表沙汰になる度に、政府はいつも再発防止を徹底するよう、米軍に「お願い」を繰り返す。
政府が米軍に強く主張できない背景には、日米地位協定があることは明らかだ。
米兵らの公務中の犯罪は、裁判権がアメリカ側にあり、公務外でも日本側が起訴するまでは被疑者の身柄を日本に引き渡さない権利をもつ。日本の警察はアメリカ側の「好意的配慮」がなければ、取り調べることもできない。
1995年の事件以降、米軍絡みの重要事件については日米両政府の間で情報を共有するシステムが確立され、沖縄県にも連絡がいくはずだった。

関係者によると、今回、沖縄県警は外務省などに連絡。在沖縄米軍は米軍総司令部に報告をした。しかし、肝心の沖縄県には届いていなかった。
当時の外務省報道官の記者会見は、用意された書面を読みあげるものだった。

小林麻紀 外務報道官(当時)
「被害者のプライバシーに関わる事案については、慎重な対応が求められていると考えている。常に関係各所へ、もれなく通報が必要だとは考えていない」
この間、日米間そして沖縄県では重要な政治日程が続いた。玉城デニー知事に話を聞きたいと思った。もどかしい思いがどこかにあったからだ。

――玉城知事、すごく優しくなられたのではないですか。沖縄県警が今回取った態度は、県知事に対する裏切りじゃないですか。
玉城デニー 沖縄県知事
「それで県民の安全が守れると思っているんですかと、私は(県警)本部長に問いかけました。それは我々が再発を防止する責任がある、皆さんは犯罪を防止する責任がある。同じ責任を全うしないと、県民は安全安心に生活できないと、警察なんか役に立たないというようなことも、合わせて言わせていただきました」