「能登で地震が多いから金沢に引っ越す」は危険?
石橋弘崇キャスター:
この“謎の断層”は活断層ではないけど、別の断層の力で動いたということですか?
MRO災害担当 木村洸記者:
そういうことです。この場所には元々、2つの地層がぶつかるような力が加わっていますが、離れたところにある活断層、今回でいうと沖合にある海底活断層ですが、その力が加わって付随的に動いたのではないか、とみられています。
兵藤遥陽キャスター:
能登半島地震から8か月以上がたちましたが、いつまで警戒が必要でしょうか。
木村記者:
全体的にみると震度1以上の地震の回数は徐々に少なくなってきています。ただ去年は震度6強の地震があった5月5日のあと、6月から12月は平均で月に10回程度だったんですが、それと比べると、2024年8月はまだ18回発生しているので、まだ2倍近くと、多い状態が続いています。

そして思い出してほしいのが、4年前、2020年3月に輪島市で震度5強を観測する地震があったのを覚えていますか?
兵藤キャスター:
たしか夜中の2時くらいの地震でしたよね。
木村記者:
このときの地震は、2007年の能登半島地震の一番大きい余震と考えられています。このように10年以上たった後も時折こうした地震が起こる可能性があり、今回の能登半島地震の震源域でも十年、十数年スパンで地震に注意が必要です。
兵藤キャスター:
被災地には今も崩れかかったままの建物がまだいっぱいありますから、これは心配ですね。
木村記者:
ただ一概に能登だけが危ないということではありません。

こちらの地図は、国が公表している活断層ですが、元日の地震の震源になったとみられる能登半島北岸断層帯のほかにも、県内には邑知潟(おうちがた)断層帯や、金沢市の直下を通る森本・富樫(もりもと・とがし)断層帯などたくさんの活断層があり、元日の地震でひずみが加わり、以前よりも地震を起こしやすくなっている可能性があります。
平松教授も「能登で地震が多いからといって、これを機に金沢に引っ越そう、というのはどうなのか」と首をかしげていました。
石橋キャスター:
県内どこにいても、地震のリスクと隣り合わせ、ということですね。
木村記者:
ただ最近になって、1ついい変化もありました。
群発地震の原因 “地下の流体”による地殻変動が収束へ
元日の地震が起こる前まで、珠洲市周辺では3年以上にわたって群発地震が続いていましたが、この群発地震は地下にある水のような流体が原因とされています。地上では、流体によって地盤がゆっくりと膨張するような地殻変動が観測されていましたが、その地殻変動が徐々に収束してきています。
京都大学防災研究所・西村卓也教授
「6月にあった規模の地震(6月3日の震度5強)はまだ可能性があると思うが、深い所からの流体の供給は止まっているので、徐々に落ち着いていくセンス(傾向)だと思う」
金沢大学の平松教授も供給された流体の量などから、群発地震は3年程度で収束すると以前の取材に答えていて、もし本当にこのまま収束すれば、群発地震に限っていえば、ある意味“予定どおり”活動が終わることになりそうです。