12日、東京・日野市で歩行者とみられる男性が落下してきた木の枝の下敷きとなり、死亡しました。

街路樹の倒木に関する国の調査によりますと、国や都道府県などが管理する道路では、近年、年間約5200本が倒木。その3割は、強風など災害以外の原因で倒れたということです。

例えば“ナラ枯れ”。意外な原因と対策を取材しました。
2023年7月29日放送「報道特集」を再公開します。

原因は? 突然 木が倒れテント直撃…夫婦が死傷する事故も

2023年年4月、神奈川県・相模原市のキャンプ場で事故が起きた。高さ18メートルの木が根元から突然倒れてテントを直撃。夫婦が下敷きになり、妻(29)が窒息死。夫(31)も重傷を負った。

事故の原因は特定されていないが、可能性として取りざたされたのは“ナラ枯れ”。ドングリのなるコナラやミズナラなど広葉樹が次々と枯れることだ。

事故の4日後、倒木現場を対岸のキャンプ場から見に来た人物がいた。
京都府森林技術センターの主任研究員、小林正秀さんだ。

京都府森林技術センター主任研究員 小林正秀さん
「ナラ枯れは結構、人命が奪われる。もう少し研究者も言わなければと思ってる。最近は都会の被害が多い。公園とか多い」

小林さんはナラ枯れを防除する対策のスペシャリストで、全国をまわっている。この日は相模原市から依頼を受け、訪れていた。

ナラ枯れが原因となる交通事故も起きていた。       
長さ6メートルの太い枝が折れて、通りかかった宅配用の原付バイクを直撃。ミラーが折れ、男性がけがをした。

被害者
「スピード落としながら曲がっていたら、急にドガーンと雷のような音が。屋根あっても衝撃を感じる位。なかったら本当に首がいってたかも。最悪、死んでいたかもしれない」

実は、その木は市が伐採を決めた3日後に折れたのだという。

相模原市 水みどり環境課 宮野賢一課長
「木が枯れて他の木と区別がついてくるのが8月のお盆明け。職員が一つずつ確認して、ちょうどこの3本を切る予定だった。台風の影響の強風が吹いたので非常に残念な結果になった」