決選投票の行方を左右するのは…

では、「過去最多」の候補者が乱立することになった総裁選の仕組みを見ていきたい。

第1回目の投票は党所属の国会議員367票と党員・党友の367票の計734票で争われる。ここで過半数を獲得できた(368票以上)候補者が新総裁となるのだが、候補者乱立の状態では票は細かく分かれると予想され、決選投票にもつれ込むと見られている。

決選投票は上位2人が争うことになる。このため各候補者とその陣営は少なくとも2位に残らなければ新総裁=総理の目は無くなってしまう。「2位まででなければダメなんです」ということだ。

そして決選投票が1回目と大きく異なるのは、国会議員票と党員票の比率だ。

1回目の投票では国会議員も党員票も同数で扱われていた。つまり「フィフティ・フィフティ」であるが、決選投票では議員票367に対して党員票は都道府県連に割り振られ、各都道府県連がそれぞれ1票で計47となる。国会議員票の比率は党員票の約7.8倍と圧倒的に高い。

ある自民党議員は決選投票になった場合は自分の選挙に有利かどうかで判断すると本音を語った。

「自分にとって大切なのは次の選挙(衆院選挙)に勝つこと。日程的には11月10日投票を想定して動いている。だから総裁選は選挙に勝てる指導者かどうかが問われる」

別の自民党関係者は総裁選を通じて候補者が何を訴えたかのアピール力や演説の力量なども重要な判断材料になってくるという見方を示した。つまり9月27日の総裁選当日の演説で決選投票の票の投じ先を判断する議員も多数出るかもしれない。