企業とのコラボや個展の開催も

晃希さんの作品が企業の目にとまった。アメリカのシューズブランド「KEEN」が、晃希さんの絵をデザインした商品を発売した。


商品を見に、さっそくお店にやってきた。色鮮やかで目を引くデザイン。晃希さんにはきちんとライセンス料が支払われる。
木下真理子さん
「最初はほんまかいなと思っていたけど、実際にこうやって店頭に並ぶと、ほんまやったんやなと思います。私たちだけではできることではないし、こういう取り組みを企業の方がしてくださるのはすごくありがたいし、素敵な取り組みだと思う」

晃希さんの初めての個展が開かれる。お気に入りの恐竜の本をお供に東京へ。個展の会場は百貨店のギャラリー。到着してすぐ、会場をぐるっと見てまわる。

晃希さんが描いた生き物たちの絵画が展示されている。

大丸松坂屋百貨店 澤田太郎 社長(当時)
「大丸松坂屋の澤田です。おめでとうございます」
木下晃希さん
「ありがとうございます。木下晃希です」
澤田太郎社長(当時)
「澤田太郎といいます」
木下晃希さん
「ありがとうございました」
マイペースなところは、社長に対しても同じだ。

この個展は、晃希さんの作品「くじらと仲間たち」が、障害者の芸術祭「アートパラ深川」で、この百貨店の賞に選ばれたことがきっかけで実現した。
東京に引っ越した知人たちも、会場に来てくれた。
知人女性
「小さいときから絵を描いていて、ずっとファンで。すごいですよね、ビッグな先生になって。こうくん寝てるけど。マイペースな先生、素敵です」

30点の作品は5日目で完売となった。こんなに早く売れてしまうのは、このギャラリーでも珍しいそうだ。

大丸松坂屋百貨店 アート担当 小口貴志さん
「うまく見せようとか、人にほめてもらおうとか、そういう邪心がない。才能がなせる技だと思いますが、好きなものを好きなように描いて、それが見る人の気持ちに深く刺さるというのは、なかなかこの仕事をしていても出会えない作品だと思う」
個展が大成功に終わっても淡々と絵を描き続ける。作品が売れるとか、評価されるとか、そんなことには関心がない。

この日、選んだのはお気に入りのミナミアフリカオットセイ。下描きせず、線を引く。お父さんと晃希さんの大切な時間。絵は晃希さんの言葉であり、コミュニケーションだ。


父親 木下賢二さん
「一緒にやっていたら楽しくてね、楽しませてもらっている。体だけ大人になって中身がこのままだったらいろいろ大変だと想像していたが、別に普通。晃希は晃希なりにちょっとずつ成長しているし、一緒にいて楽しいので」
家族に支えられて絵を描いてきた。これから先、どんな未来が待っているのだろう。

木下真理子さん
「描きたいときに描きたいものを描く、楽しく描くというスタイルで、それがたくさんの方に見てもらえるようになったらいいなと思う。自分の思い通りにならなかったことや言葉で伝えられないことで、うまくいかなかったこともあったと思う。そんな中でも、絵を描いているときは楽しく、いい顔をしていたので、そういう顔をずっとしていてほしい」

パラアーティスト・木下晃希。自由に楽しく、きょうも大好きな生き物たちを描き続ける。
