リスクシナリオに関わる「不良債権」問題
ニッセイ基礎研究所の主任研究員である三浦祐介さんは、中国の不動産市場の先行きについて「3つのシナリオ」が考えられると話します。
最も可能性が高い「メインシナリオ」は、長期の停滞が続いた後、不動産価格は底を打つものの、その後も需要と供給は軟化しやすく、不安定な状況が続くというもの。
「リスクシナリオ」は、不動産販売の悪化に歯止めがかからず、悪循環が加速しハードランディングに至るというもの。
最後に「楽観シナリオ」ですが、政府の積極的な政策の緩和により不動産の販売が早期に回復するというものです。
三浦さんは、習近平主席が、4期目を目指す2027年を前に、不動産市場の"正常化"を目指す可能性が高いとしていて、中国の不動産市況が、世界的な金融危機にまで発展する可能性は現状、低いと考えています。
一方、大和証券チーフエコノミストの末廣徹さんは中国経済が抱えるリスクの一つに「不良債権」の問題があると指摘します。
その上で、「不良債権」問題を解決するには2つ重要なポイントがあると言います。
「1つはどれぐらい不良債権があって、どれくらいで解決するかを金融機関が"開示"すること、そしてもう1つは十分なお金を突っ込むこと」
中国の場合、特に"開示"の面では不透明な部分があるとしています。
末廣さんは「どれだけ不良債権があるかをしっかり開示するという所が、うまくいかないと金融の問題になり、"リスクシナリオ"となると思うのですが、それが(中国の)外に波及していくかどうか心配ではあります」と話します。
では、仮に"リスクシナリオ"が現実となった場合、日本への影響はどのようなものが考えられるのでしょうか?
