「あの朝、バスに乗せるときまで必死に千奈を守ってきた」

千奈ちゃんの母親
「千奈を返して欲しいと毎日、毎日思います。事件当初から現在までこの気持ちは変わりません。千奈の死に対する悲しみ、絶望は言葉では表現できません」

言葉を詰まらせ、両親の泣く声がはっきりと聞こえる。

千奈ちゃんの母親
「私は千奈を大切に、大切に育ててきました。お腹の中にいることが分かったときから、あの日の朝、バスに乗せるときまで必死に千奈を守ってきました。いつも、千奈の笑顔が見たい、千奈の成長を見守って、私の命が果てるまで、千奈と一緒に生きていたかった。家族4人で幸せに暮らしたかった。すべてを奪った加害者を絶対に許すことはできません」

千奈ちゃんの父親
「千奈はわたしたち家族の主役であり、それは事件後も変わりません。千奈の命を奪った両被告人を、私は許しません。『パパに会いたい』『パパ大好き』と生前の千奈が言っている動画をみて、私は謝ることしかできません。強烈な怒りと恨みで、両被告人を殺してやりたいと考える日も少なくありません。過去の判例よりも重い実刑判決が、両被告人に下されることを望みます」

両被告は終始うつむき、弁護側のイスに座り、言葉を発することはなかった。

意見陳述のあと、検察側が求刑を告げた。検察側は、基本的な注意を怠り最も重い違反を犯したなどとして、元理事長に対して禁錮2年6か月。元クラス担任に対しては、所在確認の責任を果たしていれば回避は可能だったなどとして、禁錮1年を求刑した。

裁判長
「何か言いたいことはありますか」

元理事長
「一生かけて償っていきたい」
元クラス担任
「毎日、事件当時のことを思い返し、申し訳ない気持ちでいっぱいです」

7月4日。千奈ちゃんが死亡した日から1年10か月。裁判所のある静岡市では、観測史上最高となる39.3℃を観測し、千奈ちゃんが置き去りにされた日を思い出す暑さの中、判決の日を迎えた。