動きが遅く、今後の進路は“迷走”する可能性 

井上キャスター:
今回の台風は本当に動きが遅いです。

國本気象予報士:
午後5時すぎ、台風10号の中心気圧は980hPaと強い勢力ではなくなっていますが、依然として暴風域を伴っていて、九州北部を中心に広く入っています。

今後、進路が東寄りになる見通しですが、依然として動きは遅く、30日午後3時になっても瀬戸内海にまだあるという状況になりそうです。そして、さらにその後も動きが一段と遅くなる見通しが出てきました。

どうして台風の動きが遅いのかというと、まず30日、9月1日にかけて近畿地方の手前辺りまでは東側の高気圧に押されて東寄りに進んでいきます。

予報円が重なっているところがありますが、これは停滞する、あるいは北や南へ行って、台風が迷走する可能性があります。

この予報円の中に中心が存在する可能性が70%ほどという見方です。むしろ、その翌日は予報円は広がるので、予報円が広いということは、どこへ行くか定まっていないということを表しています。

今後の進路を見ると、さらに予報円が大きくなり、日本列島がすっぽり入るような大きさになります。

ホラン千秋キャスター:
台風という形をとったまま停滞しそうという予想でいいんですか?

國本気象予報士:
非常に微妙なところなんですが、おそらく台風としての構造は相当崩れてきています。ただ、雨は降り続くという状態は続きそうです。

これはやはり台風を流す風が弱いからです。上空の偏西風に乗れば北上する傾向なんですが、偏西風までは遠く、南の太平洋高気圧の縁に乗れば東へ進んでいくんですが、それも届かないような状況です。

風の流れがない状況で台風がしばらく停滞してしまうという可能性が出てきています。

井上キャスター:
偏西風が遠いというのは、それだけ季節の進みが遅いということも言えるんですか?

國本気象予報士:
元々、北日本に偏西風はあるんですが、2024年は少し上振れしていて遠いです。しかも、東日本は高い山があるエリアなので、台風がどっちへ進むかより迷いやすいんです。

山があると、そこで中心が割れるようなこともあります。その割れた台風の勢力が強い方が解析されて、台風の中心として見ていくことになると思います。たとえ台風が崩れても、これまで雨がたくさん降ってきたように、周辺の非常に湿った空気は凄まじいもので、猛烈な雨というのを降らせることに変わりありません。

これまでにも太平洋側を中心に80ミリの雨が降るなど、局地的にも猛烈な雨が降っています。