「これは学生が導いた革命です」 暫定政権リーダー・ユヌス氏が明かす

8月8日、暫定政権が発足した。

そのトップに就任したのが経済学者のムハマド・ユヌス氏(84)だ。

「グラミン銀行」を立ち上げ、銀行の融資がおりなかった貧しい人々に無担保で少額の資金を貸し出す仕組みを作り、2006年にノーベル平和賞を受賞した。

一方、影響力を恐れたハシナ政権からは、様々な疑いをかけられ、禁固刑を言い渡されるなど、権力側の嫌がらせを受けてきた。

ユヌス氏へのインタビューを申し込んだところ、政権発足3日目に面会できることになった。

金平キャスター
「バングラデシュの迎賓館が今、暫定政府の建物として使われていると」

オフレコでの懇談だとして撮影は許されなかった。ユヌス氏にまず、聞いた。

金平キャスター
「これは革命と呼ぶことができますか?」

ユヌス氏
「これは学生が導いた革命です」

首席顧問を引き受けた経緯についても明かした。

滞在先のパリに、デモを主導した学生から、顧問就任を求める電話がかかってきたという。

ユヌス氏
「『若者が電話であなたと話したがっている』と伝えられて、私は『政権を崩壊させた若者なので、出てもかまわない』と言いました。学生は『あなただけが信頼できる人物だ』と言いました。引き受けたのは、この国の若者世代が求めたことだからです。私は彼らをなんとか助けたかった。これは私の夢じゃなく、彼らの夢なんです」

暫定政権では、今回のデモを主導した2人の大学生をスポーツと情報・通信の担当省のトップに据えた。

そのわけについては…

ユヌス氏
「私が主張しているのは、この2人だけでなく、どの省庁にも学生を配置すべきということ。もし間違った方向に機能している場合はそれを改めていきます。言論の自由もそうです。野党や若者たちは常にそれを求めてきました。さぁ、彼らに言論の自由を与えましょう。それが望まれていたわけですから」

懇談は約45分間。現時点では話せないとした内容も多く、課題が山積している様子がうかがえた。

金平キャスター
「もうピリピリしていて、なぜかというと状況が安定していないからということで、中も雑然としていて、軍だらけです。ものすごく警戒が厳しかった」

入閣した2人の大学生は どう受け止めているのか。話を聞くことができた。

スポーツ省 トップに就任 アシフ・マームドさん(25)
「バングラデシュは経済状況が悪く、失業率も厳しい状況が続いてきました。これらの分野ではユヌス博士は世界的に有名で、政策立案に関わるには理想的な人物です。デモが成功したのは、市民と学生が力を合わせたからです」

情報・通信省 トップに就任 ナヒド・イスラムさん(26)
「初仕事として今日は調査委員会を作りました。24時間以内にデモ中になぜインターネットが遮断されたのか調べて報告します。いまインターネットは生活に欠かせません。自由に使うことは権利であり、人権です。私たちは基本的な権利や人権を絶対忘れない」

暫定政権の顧問には、ほかにも弁護士やNGO関係者など、政治経験のない人たちが数多く含まれている。

貧しい家庭の子供が多く通っているダッカ市内の学校。

授業の合間にビスケットが配られていた。ユヌス氏がかかわる会社が作ったものだ。

子どもたちに問いかけてみた。

Q.バングラデシュをもっと良くするために何をすればいいと思う?
「道路を綺麗にする」
「植物を植える」

この国は、これからどう変わっていくのだろうか。