▽日本大学(地盤工学専門)鎌尾彰司准教授
「工事が終わったら、設計変更よりさらに増額なんていう可能性がどんどん出てくると思います」「ちょっとずつ(工費増額を)小出しにするっていうのが国のやり方なのかなという感じはします」

移設工事の費用や工期について、政府の想定では総事業費約9300億円、工期は最短で12年とされていますが、大浦湾側の工事に着手していない段階で、すでに半分近い額が支出されていてます。
今後は前例のない深さで地盤の改良工事を進めることなどから費用の増加は避けられず工期も延びることが考えられ、世界有数の豊かな生態系への深刻な影響も懸念されますが、沖縄県としては工事を止める有効な打開策を打ち出すのが難しいのが現状です。
そもそも県民は“埋め立て反対”の意思を投票で示している

<記者の視点>
今後工事が進むなかでも忘れずに考えたいのが、ここまで政府が辺野古への移設を推し進めてきた経緯です。
県民投票をはじめ移設問題を争点にした県知事選など、何度も示されてきた沖縄の声に政府は向き合うことなく、埋め立て工事の変更承認を争った司法の場などでも、ここまで、県の訴えの“中身”が審理されることはありませんでした。
政府は普天間基地の危険性の「1日も早い除去」のために工事を進めてきましたが、工事は後12年以上かかるという矛盾、不条理からも目を背け続けています。
にもかかわらず、沖縄の基地負担がいつの間にか沖縄の「責任」であるかのように“辺野古が唯一”と振る舞う姿勢が県民の目にどう映ってきたか。
政府には、難工事や自然環境の保全といった数々の懸念に答えていく責任がありますし、今後もこうした“県民に対する姿勢”が問われ続けます。(取材 平良優果)