大浦湾に広がる軟弱地盤を固める方法のひとつが、「サンドコンパクションパイル(SCP)」という工法です。海底に筒を打ち込み繰り返し衝撃を与えながら砂を投入し締め固まった砂くいを埋め込み地盤を固くしていきます。

▽日本大学(地盤工学専門)鎌尾彰司准教授
「分からないところがある、ということを残しているのが土木工事としては信じられない」
地盤工学が専門の日本大学・鎌尾准教授は、政府の調査不足を従来から繰り返し指摘しています。
問題は滑走路が建設される場所に位置する「B27」と呼ばれる地点。水深90メートルの場所に軟弱地盤が広がっている場所で、政府はこの場所の詳しい調査を実施せず、近くの地盤の調査を参考に「固い」と評価しています。

約7万本の杭を打ち込み水深70メートルまでを改良すれば、「十分」だとしています。
「完成後も地盤沈下 維持費膨らむ」と専門家
▽日本大学(地盤工学専門)鎌尾彰司准教授
「(参考にした他地点と)距離が離れていることと、土の物性を見ても同じようには見えない。防衛省側は同じだと言っているが、私から見ると深いところにある20メートル分の粘土の方がより柔らかいようにも見える。その情報がない中で工事が進むということが一番懸念される」
鎌尾准教授は「施設を供用した後にも地盤沈下による長期にわたるメンテナンスが必要で維持費も膨らむ」と指摘しています。

工事をめぐっては着工前のことし3月、沖縄防衛局が契約した大浦湾側の護岸建設工事4件についてあわせて170億円増額されたことが分かっています。