弟が流した悔し涙

兄の告白に、雄大さんはできるだけ「普通に」応じた。しかしその後、既に結婚していること、結婚式も挙げたこと、家族に迷惑をかけたくなくて言い出せなかったことを聞いて涙がこぼれた。悔し涙だった。

雄大さん:
「もっと早く話を聞いていたら、みんなで結婚式に駆け付けたのに」

家族に心配をかけまいと、男性を愛した事実を隠した兄。その優しさが、兄自身を苦しめていた。家族仲が良かった分だけ言い出せず、兄が苦しみ続けてきたことを思うと胸が締め付けられた。自分が想像していたより、何倍も何十倍も、兄の苦しみは深いことを初めて知った。

全国から寄せられる賛同と批判

その後、藤山さんと松浦さんのカップルはカミングアウトを受け入れてくれた藤山さん家族が住む長崎県に移住。移住先の大村市は「パートナーシップ宣誓制度」を導入して性的マイノリティへの理解促進に取り組んでいる。自治体の裁量の範囲内である《住民票》には、2人の希望通り「世帯主」・「夫(未届)」と記して交付した。

異性の事実婚カップルと同様の記載扱いは全国から注目を集め、大村市のもとには、2人が会見を行った5月28日~8月18日までの間に、全国から59件の声が寄せられた。いつもは1日1件あるかないかだというから異例の多さだ。

「いいことをした」「全国に広がって欲しい」ー賛成や応援する声
「同性婚はやっぱりおかしい」ー反対の声。

SNSなどでも様々なコメントが飛び交った。
「気持ち悪い」・「受け入れられない」・「理解を強要するな」
「幸せなら良い」・「多様性を認めるべき」・「尊重したい」