怪談師にとって怪談バーはどんな場所?

今回、恐怖の怪談ライブを披露してくれたのは”恐怖のスペシャリスト"の異名を持つ怪談師・村上ロックさん。ライブ中とは別人のように打って変わり明るく穏やかに取材にお付き合い頂きました。ロックさんにとって怪談バーとはどんな場所なのでしょうか。

▶︎幅広い客層を相手に"修行の日々"

季節モノの怪談イベントと異なり、常にそこにあるバーという性質上、訪れるお客さんの三者三様ぶりに苦労もあるようです。

村上ロックさん
「怪談師が100本話を持っていても、全部聞いちゃってるご常連様もいて、どう飽きさせないかとなってくるとやっぱりお話自体のクオリティを上げていくというか、ライブが終わった後に今回は良かった!と言われるところまで練り上げていく。一番過酷な環境なんですけど、ゆえに怪談の品質を保てている、修行の場でもありますね。」

一方で、なかにはこんなお客さんも。

村上ロックさん
「外部の怪談イベントに来る方は当然怪談を求めて来るけれど、このお店に初めてこられた方の中にはここがどういう場所なのかわからない、友達に連れてこられたけど一体これなんですかっていう方もいらっしゃる。
普段全然怪談も聞かない、興味ない、むしろ苦手ですっていう方にどう飽きさせずに最後まで聞かせるか、どう興味持ってもらうかというのも難しいところです。」

ロックさんはその日のお客さんの顔ぶれを見て怪談のレベルを調節するそう。"恐怖のスペシャリスト"の名に違わぬプロフェッショナルっぷりです。

▶︎怪談好きが集えば自ずと怪談も集う"怪談収集"の場

バーでお客さんから聞いた怪談の多くがロックさんのレパートリーとなっているそうで、お客さんらと築いたその関係は財産だと言います。

村上ロックさん
「怪談師は日本全国に取材に行ったりするんですけど、僕はここに来てくださったお客様にライブ後にお席伺ってご自身で不思議な体験ありますかと聞かせてもらうことが多いんですね。
不思議なもので怖い話ありますかって聞くと大抵の方は怖いのはないですって言うんすけど、不思議なお話ありますかって聞くと大抵皆さん一つや二つはそういえばって話してくださることが多いんです。
正直怖いかどうかわからないんですけどねって話し出しの方からギョッとするようなお話が聞けたりすることも多いです。もう本当に、ありがたいことです。」

怪談が怪談を呼ぶ酒場、文字面ではなかなか仰々しいですが、なんとも素敵なお話な気も。