戦慄の怪談ライブがいよいよスタート

怪談師
「お待たせいたしました。怪談ライブのお時間です。どうか最後まで、お付き合いください。」

学生服を身にまとった怪談師がミステリアスなライトの照らすステージに現れました。
すっかり雰囲気に呑まれ"最後まで"という言葉一つに意図を深読みしてしまいます。

怪談師
「青森のコールセンターに勤める女性から聞いた話なんですが、彼女の職場に田中さんという年上の男性がいたんですね。真面目でお仕事を一生懸命頑張る方なんですが、ある日、いつになっても田中さんが出勤してこない。
そのまま数日が経ち警察から連絡があって、青森の海沿いで田中さんの車が見つかったと。ただ車内に彼の姿はなかったんです。
さらに数日後、田中さんは遺体となって沿岸で発見されました。
その日から彼女は毎日仕事が終わると、土砂降りの日だろうが大雪の日だろうが、1日も欠かさず海に行って、線香1本とタバコ1本供える。これを毎日続けたんです。
その日も仕事が終わって海に行きまして、線香供えようと思って線香の箱をパカッと開けたとき…残り1本しかない。今日が最後の1本だって思ったとき、突然背後から肩をトントンと叩かれる。
振り返ると、全く見知らぬ中年男性が立っていて、『お姉さん…大丈夫?』と声をかけられ何のことかと尋ねると、
『いやお姉さんね…自分で気づいてるかわかんないけどもう2時間ここにこうして立ってるんだよ』」

その後も女性の周囲で起こる不可解な出来事の数々。恐怖の連続の先にはあまりに救いのない結末が…
ここで書くことはできませんが、実際にライブに行けば、背筋から凍るように涼むことが出来るのは間違いありません。

怪談師
「ご清聴ありがとうございました。『線香』というお話でした。」

人生初の“生”怪談に最後まで鳥肌立ちっぱなし。ライブが終わり照明が元に戻ると、恐怖心が退いていく感覚と同時に得も言われぬ開放的な爽快感が。
これが怪談の魅力なのか...?