「身を引く」決断の背景

岸田総理はけさ自民党幹部に対し、
「旧統一教会の問題や自民党派閥の裏金問題の話もあり、どこかで自分が責任を取らないといけない」
と電話で伝えています。
派閥の裏金事件でトップが責任をとらないといけないことへの批判は自民党議員や地方組織の間で根強く、身を引く決断の大きな要因になったとみられています。
弁護士 八代英輝:
責任はいつか何らかの形で取る必要があったと思っているんですけど、どうしてこのタイミングになったんだろうというのが興味深いですね。
恵俊彰:
(オリンピックの)選手の皆さんが帰ってこられて「お疲れ様でした」ってねぎらった。その次の日ですもんね。
コメンテーター 高橋みなみ:
本当になぜこのタイミングだったのかなっていうのは驚きましたよね。個人的には「出馬への意欲が強いのかな」と思っていたので、ここで責任を取るというのはダブルで驚きました。
恵俊彰:
幾度となく解散風を吹かせながら、やはり総裁選の前までに解散をして選挙に勝って無風で勝ち抜くというのがずっとビジョンだと言われてはおりましたけれどもね。

TBS官邸キャップ 川西全:
岸田総理は先ほどの会見で裏金事件が発生した当初から責任を取ることは考えていたということで、当面の外交日程にひと区切りがついたこの時点で表明する考えだったと説明しています。
このタイミングでの表明ということでやはり内外で驚きをもって受け止められています。
ほとんどの自民党幹部は今朝知らされたということで、一様に驚いた様子でした。
今思い返してみると、昨日の夜岸田総理がホテルでちょっと不自然な夜会合を開いていて、そこにひょっとしたら自民党の腹心の木原幹事長代理が来てるんじゃないかとかそういった噂はあったんですけども、具体的に動きとして「やめる」ということを掴んでいた人はほとんどいなかったのではないかと思われます。
最後まで自分1人で決断するということで、やはりサプライズのやり方だったのかなという印象です。
ただ岸田総理は内閣支持率が低迷している中で、あくまで続投に向けた考えは崩していなかったんですけども、周囲に対して「もし自分が出ないとするならば、その理由は自分がいると総選挙で皆に迷惑をかけるから」と語っていました。
やはり総選挙で勝つか負けるかを考えたときに、自分としても責任の取り方というものをずっと考えていたと思われます。
恵俊彰:
今、自民党の皆さんが驚かれているという情報でしたけれども、ぶっちゃけて言うと、このまま岸田さんで勝てない、だから次は誰なんだといういう話が小林(鷹之)さんであったりとか小泉進次郎さんも含めていろんな名前が取り上げられていたわけじゃないですか。
内心どうなんですか?自民党の中で驚きなのか、それともほっとしてるかどっちなんですか?
TBS官邸キャップ 川西全:
最近内閣支持率を見てみますと、直近ではまた微増にあったんですね。周辺では必ずしも勝てないとは言えないという見方もありました。
あと、今回総裁選に4人とか5人とか6人とかたくさん出てくるんじゃないかと。たくさん出てきたら岸田総理も団体とか抑えてますので、議員票も宏池会という岸田派を持ってたりなど、決選投票にさえ残れば、みたいな希望的観測は実際ありました。
しかしやはり現実に状況を見極めて、特に地方は圧倒的に厳しいわけで、「地方では一票も取れないよ」みたいな声も散々聞こえてきたわけですね。
そういったことを諸々考えた結果として、やはり勝ち目がないというか、ここは身を引いた方が自民党のためになるだろうという岸田総理の判断だと思われます。
恵俊彰:
いろんな責任はお取りにならなきゃいけないということはお感じになっていたが、一方で状況としても、総裁選に向けての自分を支える皆さん、その数を数えていったときにこれはという部分もあった、ということでしょうか?
TBS官邸キャップ 川西全:
ギリギリまで、例えば麻生副総裁と会談したり、働きかけ自体はずっと続けていて初めから諦めていたわけではなかったと思います。
やはり客観的に考えてそれがちょっと往生際が悪いと映るかもしれないなど、いろいろ考えはあったと思うんですね。ただ岸田総理としてもまだ経済がこれから実質賃金などが上がってきて今年の後半以降良くなってくる、その見通しを示したいんだということをさんざん強調していましたので、ここでやめること自体に関してやはりちょっと無念な思いもあったと思います。