これからの学校給食
主食、おかず、ミルクのそろった完全給食の実施率は、公立小学生では99.9%、遅れていた公立中学生も97.8%まで上昇している。しかし、公立小中学校で完全給食を実施しない理由として、給食施設・設備の問題、地理的理由、財政的理由を挙げたケースが小学校39校、中学校109校もあり、早期解消に向けて国や県の支援が必要である。
高校生にも給食へのニーズがある。厚生労働省の調査によれば、朝食を欠食する男子高校生は1割を超える。校内にカフェを設ける動きも広がっている。東京都における調査では、「学校における無料の給食サービス」への希望は、「使ってみたい」「興味がある」を合わせて46.7%ある。
実際にも過疎地や島にある公立高校に、給食センターから配食している例がある。また、夏休み中の学童保育での昼食についても、従来の保護者任せの弁当持参ではなく、給食センターから配食している例がある。
利用者の申請に基づく個別的支援である就学援助制度が周知不足や制度を利用することへのためらいなどから十分に機能しない今日、給食費未納の子どもが給食を食べられないという事態を避けるためには、無償化は必然といえる。さらに、給食へのニーズは小中学生だけに留まらない。高校生への給食実施も検討すべき課題である。高校生世代の食の格差を埋めることも求められている。
<執筆者略歴>
鳫 咲子(がん・さきこ)
跡見学園女子大学マネジメント学部教授。
上智大学法学部国際関係法学科卒業。筑波大学大学院経営・政策科学研究科修了、博士(法学)。
参議院事務局で国会議員の立法活動のための調査業務などに27年間携わる。
著書に『給食費未納 子どもの貧困と食生活格差』(光文社新書)『子どもの貧困と教育機会の不平等 就学援助・学校給食・母子家庭をめぐって』(明石書店)ほか。
【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版(TBSメディア総研が発行)で、テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。2024年6月、原則土曜日公開・配信のウィークリーマガジンにリニューアル。