ヒンドゥー教の寺院を改築「デリーのクトゥブ・ミナールとその建造物群」

最初の世界遺産は「デリーのクトゥブ・ミナールとその建造物群」。そもそもデリーとは州に準ずる連邦直轄領で、東京都の7割くらいの面積の中にいくつかの地域が含まれており(ニューデリーはそのひとつです)、クトゥブ・ミナールは中でも歴史の古い地域にあります。
13世紀初めにインド初のイスラム王朝が作ったもので、イスラム教の礼拝堂・モスクとモスクには付きものの塔・ミナレットなどの遺跡です。ミナールとはヒンディー語で、ミナレットのこと。塔の高さは72メートルもあるのですが、当初はもっと高く100メートルもあったといわれます。

この赤い巨塔が、青い空を背景にそびえる姿は壮観でした。面白いのはモスクの部分で、元々はヒンドゥー教の寺院だった建物を改築して作ったため、ヒンドゥーの神々の彫像が柱などに残っています。

ただしイスラムでは偶像崇拝は禁止されているため、顔は削られてしまっていました。現在のインドではヒンドゥー教徒が人口の80%弱を占め、イスラム教徒は14%ほどですが、かつてはイスラム勢力がインドを支配していた時代があったのです。
