7月利上げ賛否の理由
7月利上げのサポート材料としては、9月は自民党総裁選の真っ只中で、10月以降も解散総選挙が重なるリスクがあるという日程上の理由もあります。
7月を逃すと、利上げがかなり先になるリスクがあります。
逆に、7月見送りのサポート材料は、消費を中心に景気の足取りが弱い上、ひとまず円安が止まったことから、何も今急ぐ理由などないことがあげられます。
こうなってくると、もはや現状とリスクをどう考えるか、そしてこの利上げをどう位置付けるのか、という日銀の判断にかかってきます。
物価と経済の好循環が完全に実現されるまで、金利は動かせないものなのか。
それとも、人々のインフレ予想の上振れを受けた、金利の微調整が必要な局面と考えるのか。
まさに、異次元緩和からの脱却するプロセスをどう作っていくのか、という局面と言えるでしょう。
異次元から徐々に正常化するための、0.1%程度の微調整であれば、通常の景気変動に対応した「引き締め」とは区別して考えることができるようにも思えます。
いずれにしても、日銀にとっては、何十年に1回かの、大事な判断のタイミングが訪れています。
播摩 卓士(BS-TBS「Bizスクエア」メインキャスター)