総理も幹事長も「利上げ」後押し?

そして、政府・自民党内からも、日銀に利上げを促すかのような発言が飛び出しました。

岸田総理大臣は19日、軽井沢での経団連夏季フォーラムで「金融政策の正常化が経済ステージの移行を後押しし、その移行が金融政策の更なる中立化を促す」と述べたのです。

具体的な時期こそ言及しなかったものの、金融政策の正常化をデフレ完全脱却の動きとしてむしろ歓迎する意向を示したもので、かなり踏み込んだ発言です。

日銀の金融政策決定会合を10日後に控える中で、時の総理大臣が金融政策にすすんで触れるのも異例なことです。

これに刺激されたのか、自民党の茂木幹事長も22日の講演で、「段階的な利上げの検討も含め、正常化する方向で着実に進める方針をもっと明確に打ち出すことが必要だ」と述べました。

茂木発言は、利上げに舵を切るよう日銀に促すと共に、小さくても良いから早く利上げを始めるべきだというニュアンスさえ感じられます。

総理と自民党幹事長のこうした発言を受けて、市場では7月利上げもあり得るとの観測が広がり、円相場の上昇にさらに弾みが着きました。

利上げ見送りなら再び円安も

介入、トランプ、利上げ観測と三拍子揃って、ようやく円安修正に動き始めた円相場。

それでも、25日にアメリカの予想以上に強いGDP統計が発表されると、再び153円台に押し戻されるなど、一本調子で円高が進むほど甘くはありません。

日本の貿易赤字体質や、急増するデジタル赤字など今の円安には構造的な要因も大きいからです。

当面は、30日からの日銀の金融政策決定会合が大きな焦点です。

仮に利上げに踏み切れば、サプライズもあって、140円台半ばに向けての円高が試されると局面に入ると見る向きもあります。

逆に、利上げが見送られ、今後の利上げにも言及がなければ、再び大きく円安に戻るリスクが指摘されています。