“台風の脅威を恵みへ”タイフーン・ショット計画

 2021年10月に横浜国立大学に台風科学技術研究センター(TRC)が設立されました。日本では初となる台風専門の研究機関で、国内の様々な大学や民間企業と連携して、台風に関する研究が行われています。センター長である筆保教授らが取り組むプロジェクトの一つが、“タイフーン・ショット計画”です。

 「台風を完全になくすわけではなく、人間の力で少しでも台風を弱めて、日本に来たときには100の強さだった台風を90や85ぐらいにしたい。そうすると、いまのインフラでも耐えられ、台風被害から守られるのではないか。」と筆保教授は説明します。風のパワーの大きさは、風速の2乗で比例します。風速が2倍になれば風のパワーは4倍に、風速が3倍になれば風のパワーは9倍となります。風が強くなればなるほど、暴風被害は指数関数的に拡大します。裏を返せば、少しでも台風の風を弱めることで、被害は大きく軽減することが期待されます。

2019年10月9日 令和元年東日本台風の衛星画像 (気象庁ホームページより)