半世紀前にアメリカで熱帯低気圧を弱める実験が行われていた
実は、台風の勢力を落とす研究は、半世紀前に同じ熱帯低気圧のハリケーンに対してアメリカで行われていました。プロジェクト期間中に発生した3つのハリケーンで実証実験を行い、そのうち1つのハリケーンが弱まったという報告がありました。しかし、実際に人間の介入の効果がどれほどか判定できず、それがプロジェクトのうまくいかなかった原因となりました。
筆保教授はいいます。「半世紀前にできなかったことは、コンピューターの中での影響評価です。いまでは数値シミュレーションというコンピューター上で台風を再現することができます。コンピューターの世界で発生させたバーチャル台風に人間が介入した場合と、しなかった場合の影響を比較できるようになりました。」
コンピューターを最大限活用することで、半世紀前にアメリカの研究者が挑んだテーマに、現代の日本の研究者たちが立ち向かっています。
