衝撃的だった令和元年房総半島台風の現場

 2019年、令和元年房総半島台風によって千葉県では甚大な暴風被害が発生、長時間に及ぶ停電被害も出ました。筆保教授は「自分たち研究者の予想していた進路や強さの通りに台風がやってきましたが、予測以上の被害が出て、そのときに被害を止める方法が全く思い浮かびませんでした。台風のメカニズムなど研究成果が出されているのに、実際は台風の研究が社会に貢献できていないことを痛感し、敗北感みたいなものを感じました。」と振り返ります。

 被災地に立って味わった“敗北感”が、台風被害を減らすプロジェクト始動のきっかけとなりました。

台風科学技術研究センター(TRC)センター長である横浜国立大学教育学部・筆保弘徳教授。筆者が大学院生だったころの指導教官でもある。