◆弁護側は「無理心中を試みたのは、介護疲れによるうつ病が原因」
65年間連れ添った妻を自らの手で殺害したとされる上牧被告。
裁判で検察が証拠として提出した遺書などから、認知症が進む妻の介護に疲れ、将来を悲観した被告の苦悩が明らかになっていました。

起訴状などによりますと、上牧被告94歳は、事件当時、上牧被告と英代さんは2人暮らしで、上牧被告は普段から、認知症を患い、要介護度2の認定を受ける英代さんの食事の世話などをしていました。
16日、札幌地裁で開かれた初公判にグレーのスーツ姿で出廷した上牧被告は、しっかりとした足どりで証言台の前に立ちました。
難聴を患う被告のために、証言台にはスピーカーが用意されました。
札幌地裁の吉戒純一裁判長に、起訴内容に間違いがないか問われた上牧被告は「ございません」と認めました。
冒頭陳述で検察側は「妻の介護を継続できず、施設に預ける金銭的余裕もないと将来を悲観し、心中を決意して犯行に及んだ」と指摘。
弁護側は「無理心中を試みたのは介護疲れによるうつ病が原因で、再犯の可能性は低く、犯行を深く反省している」などと情状酌量を求めました。