■日本帰国へ向け準備!難関だった「日本独自の陰性証明」
不安を抱えながらも滞在を楽しんでいたが、同時に進めていたのが日本帰国に向けた準備だった。
厚労省が提供するシステム「MySOS」のスマートフォンアプリを使い、誓約書提出など4項目を完了させる必要があるのだが、鬼門となったのが現地でのPCR検査と、陰性証明書の発行だった。
というのも、これが一般的なフランスの検査機関では発行されない、日本独自の書類だからだ。
そもそもパリでは街中を少し歩くだけでも複数の検査場を見つけることができ、陰性証明を発行してもらうことができる。

しかし、日本入国の際に求められるのは、厚労省が様式を示している“日本独自のフォーマット”のもの。陰性が確認され次第、現地の医師などに書いてもらう必要がある。

これに▼対応する(書いてもらえる)検査機関を探し、▼自分で予約し、陰性が確認され次第、改めて▼日本独自の様式に記載してもらいに行くというステップが意外と手間がかかるものだった。
結局、私の場合は、出国2日前の午前にパリ市内の検査機関でPCR検査を受け、午後には結果の通知をメールで受け取ることができた。
「NEGATIF」 陰性を示すその通知を見て、心から安堵した。
前述のアプリの全項目を「審査済み」の状態にしていたので、入国審査も非常にスムーズに済んだ。
成田空港では飛行機を降りてから、わずか40分程で外に出ることができた。
また、帰国後は、数日後の出社に向けて抗原検査とPCR検査を受検。いずれも陰性で、帰国から約1週間が経つ現在も体調に変化はない。
帰国の際は空港などでも全く検査を受ける必要が無かったので、私同様、念のために受けたいという人は結構いるのではないかと思う。
■結果“コロナ禍の海外旅行”に行ってみたらどうだった?
率直に、楽しかった。美術館や観光地を訪れたこともそうだが、何より、数年ぶりに母に会うことができ嬉しかった。62歳になってもなお仕事に励む姿や、現地の言語や文化を懸命に学ぶ姿、フランス人の友人と生き生きと過ごす姿をみられて、「行けて良かったな」と心から思った。
ただ、もしも私が現地でコロナに感染し療養が必要となり、予定通り帰国することができていなかったら…もう少し違う感想も抱いたかもしれないと思う。
今回の旅行を通して、現在の日本の水際対策では、私自身が母に会うこと以外を理由に自由に海外に行くのはもう少し先になるような気がした。それはこの旅行中、「もしも…」という不安が、つきまとっていたからだ。
海外旅行に行くこと、そこでコロナにかかってしまうこと、それはもしかすると“自業自得”なのかもしれない。でも、本来、旅行はこんなに感染を恐れて過ごすものではないと思う。そんな旅行は楽しくないと思う。早く、国内海外問わず、どこかに行きたい、素晴らしい景色を見たい、大切な人と過ごしたいと望む人たちが、安心して旅行に行ける日が来ることを願っている。

(TBS報道局 デジタル編集部 原田真衣)

















