沖縄では「35℃以上」は極めてまれ

気象庁のデータで2023年より前の30年間の気温をさかのぼると、那覇で観測された最高気温は2001年8月9日の35.6℃。30年間でわずか5日しかなかった。

これは東京都千代田区が同じ30年間に160日も記録したのと比べ対照的だ。北海道・札幌でも同じ過去30年で猛暑日は8日で、猛暑日の数は全国で沖縄が最も少ない。

「沖縄は35℃を(滅多に)上回らない」とされていた理由を松澤まゆ気象予報士はこう解説する。

「1つ目は、沖縄は海洋の影響を強く受けた海洋性気候であるということ。気温の変化が小さく、海に囲まれているため海風によって熱がたまりにくい状況にあります」

「2つ目は、フェーン現象の影響が小さいこと。フェーン現象というのは空気が高い山を上る時に雨を降らせることで、山を下りてくるときにもともとの気温よりも高くなるという現象です。高い山が多い本州ではこのフェーン現象で高温になることが多いですが、沖縄の場合は高い山がないのでその影響が小さいと言えます」

「3つ目は、沖縄はコンクリートで覆われた面積が小さいため『ヒートアイランド現象』の影響を受けにくいことなどがあげられます」

気温のデータだけをみると、意外にも夏場の沖縄は本州に比べて過ごしやすい。一方で湿度は高く、熱中症のリスクは決して低くない。観光で訪れる際には、水分補給をしっかり行うなど体調管理には気を付ける必要がある。