「顕著な…」は消滅へ

運用開始から3年以上が経過した「顕著な大雨に関する気象情報」は、今回の見直しでようやく「気象情報」=解説情報の枠組みから抜け出す目処が立った。

それに伴い、「顕著な…」という摩訶不思議な名前が消える代わりに、「線状降水帯」の語句がようやく情報名に明記される見通しも示された。

以前からそうなることを望んでいただけに、この方向性については素直に歓迎したい。

その上で、長年担当してきた記者として、このタイミングで気象庁にどうしても言っておきたいことがある。

気象庁が発表する、もしくはこれまでに発表してきた幾多の防災情報の中で、「顕著な大雨に関する気象情報」は、前述の理由から最悪の名前が付けられた情報だと思う。

しかも、問題は情報名だけに留まらない。

発信者の論理優先も見直しを

この情報自体は、線状降水帯による、災害を引き起こすような大雨が降っていることを知らせる非常に重要な情報だ。

だから「線状降水帯が発生した」と知らされた側が、その情報を詳しく知りたい、直接確かめたいと思うのは当然の成り行きだろう。

なのに、そうした情報ニーズに応える仕組みを未だに整えていないのは、情報を発信する側の態度としてまったく理解できない。

気象庁は、自分たちが出した情報を人々が探し回った末、結局見つけられなかった時の徒労感やストレスを少しでも想像したことがあるのだろうか。

そうした無駄な骨折り作業やストレスを解消する責任を感じないのだろうか。

あくまで発信者の論理や理屈、都合や事情を優先させて情報名や発表の仕組みを決めた結果、「顕著な大雨に関する気象情報」は、受信者に伝わりにくい、届きにくい、なおかつ受信者が探そうとしても見つけにくい情報になってしまっている。

それが現状であり、防災上の効果が上がらないように仕向けているのは、実は気象庁自身にほかならない。

その点を重く受け止めて、今後の改善に生かしてほしい。

発信者の論理だけでは効果的な情報伝達は実現しない