京都市内の病院で、赤ちゃんの頭が通常とは逆の状態、いわゆる「逆子」の状態を解消する手術を受けた後に胎児に重度の障害が残ったとして、家族が執刀医に対し業務上過失傷害容疑での告訴状を京都府警東山署に提出しました。

 手術を巡っては、病院側が医療ミスであったとことを認めています。執刀医は今も別の病院で働いていますが、母親は「息子の人生すべてを奪ったのに、何も変わらず生きているのは心苦しい」などと苦しい思いを抱いています。

妊娠30週目で「逆子」と診断…執刀医から提案され「外回転術」受けることに

 京都府京田辺市に住む千鶴さん(36)。4年前に出産を控えていた千鶴さんは京都第一赤十字病院に通院していました。千鶴さんは妊娠30週目の時、赤ちゃんの頭が通常とは逆の「上」にある状態、いわゆる”逆子”と診断されました。 逆子の場合、早産の可能性や胎児の頭が最後に骨盤を通ることから頭が産道に引っかかるケースがあることなどから出産が難しくなる恐れがあるため、千鶴さんは2020年12月、”逆子”を直そうと「外回転術」と呼ばれる手術を執刀医から提案され、手術を受けることを選びました。

外回転術とは、妊婦のお腹の上から胎児の頭部と臀部を持って回転させ逆子を矯正するものです。「外回転術」の成功率はおよそ40%と半分以下とされていて、リスクも伴うと専門家は話します。

(京都産婦人科医会 柏木智博会長)
「外部から力を加えるわけですから、非常に危険な状態が生じる可能性もあるので、エマージェンシー(緊急事態)に対応できる設備があるところでやるのが原則。徐脈になるとか、早期に胎盤が剥離するとか、子宮が破裂してしまうとか、出血、あるいは破水などの可能性・リスクが伴いますから。お腹の中で回転させて頭位を変えるというのはそんな簡単なことじゃないんです」