昔から多くの被害をもたらしてきた自然災害。これを後世に伝えようと先人たちが建てた石碑が、分かっているだけでも全国に2000以上存在しています。
『備えることを忘れるな』という先人の声を活かそうと、国土地理院が定める地図記号にも追加されました。
まだ認知度は低いものの、災害から身を守るヒントが詰まっています。
「自然災害伝承碑」

民家も立ち並ぶ山の麓に、ひっそりと佇む石碑。懐中電灯の光をあてると、小さな文字がきれいに浮かび上がりました。

文字
「堤防決潰五箇所」

井浦憲剛さん
「こうすればきれいに災害の状況、概要が読み取れます。堤防決壊した場所が5か所だ、と書いてある」
うきは市の元職員・井浦憲剛さん(74)が案内してくれたのは、78年前に現在の福岡県うきは市吉井町で起きた災害を刻んだ「山潮記念碑」。
土石流による堤防決壊など、当時の被害状況が克明に記されています。

井浦さんは、旧吉井町の町史などをたどり「山潮記念碑」を「自然災害伝承碑」に登録する申請に携わりました。

「自然災害伝承碑」とは過去に発生した洪水や土砂災害の被害状況などが記されたモニュメントのこと。
自治体が国に申請し、承認されれば、国のホームページに公開されます。

井浦憲剛さん
「吉井町の歴史を記録した冊子が1巻から3巻まであって1巻に災害の記録が残っていました。その中に記念碑が載っていてそれを参考に調べました。歴史は繰り返すというか、災害も繰り返すから自然災害伝承碑に書いてあるように、災害に備えるのは非常に大切なことだと思います」

現在は全国620市町村で2100基あまりが「自然災害伝承碑」として確認・登録されています。
RKB 小松勝 記者
「これまでに大雨などの被害を受けてきたうきは市には複数の自然災害伝承碑が設置されています」