今回から正式採用の「ブレイキン」
個人種目で注目なのは、パリ五輪から正式採用されたブレイキンだ。基本的なダンスの型(ステップ、フットワーク、パワームーブの技)はあるが、それをアレンジしてオリジナリティを出すことが非常に重要になる。ブレイキンの対戦はバトルと呼ばれ、1対1の戦いになる。音楽を流すDJや、進行役を務めるMC、ジャッジを行う審査員によって進められる。
日本は、このブレイキンが強く、男子代表のダンサーネームShigekixこと半井重幸は7歳からダンスを始め、22年世界選手権2位、23年世界選手権3位と日本のエース的存在。「目標は金メダル」とハッキリと宣言する通り、世界のトップを狙いにいく。
Hiro10こと大能寛飛は、パリ五輪予選シリーズで3位、6位とまとめて代表の座を射止めた。金沢市出身で能登半島地震では石川県に住む祖母が被災した。「地元の人たちに元気を届けたい。パリは死ぬ気で頑張る。金メダルを絶対取る」と熱く語る。
女子はダンサーネームAmiの湯浅亜実とAyumiの福島あゆみの2人が第1戦に続いて決勝まで勝ち進み、パリ五輪の座を勝ち取った。湯浅は小5の時にブレイキンを始め、第1回WDSF世界ブレイキン選手権(中国・南京)優勝、第1回世界アーバン大会(ハンガリー・ブダペスト)優勝、ともに初代女王に君臨、抜群の実績を誇る。
福島は21年世界選手権優勝、22年世界選手権3位、23年世界選手権2位と41歳ながら抜群の安定感と強さを誇るが、一方で拠点の京都では幼稚園などでダンスや英語を教える先生の顔も持つ。大技に頼らず、基本で精度の高い技を繰り出すスタイルで、「1戦1戦、大事に戦って最後にそれ(メダル)が見えたらいい」と目前の試合に集中して勝ち上がっていくという。
男女ともにアベックでの金メダル獲得は決して夢物語ではなく、普段通りの力を発揮すれば日本勢が金銀のメダルを独占する可能性もあるだろう。