「海外経験」が活きる男子バレー

バレーは、男子バレーボール日本代表が熱い。東京五輪では、92年バルセロナ大会以来29年ぶりに決勝トーナメントに進出し、7位。23年のネーションズリーグでは銅メダルを獲得し、同年秋のパリ五輪の予選を兼ねたワールドカップでは08年北京五輪以来の自力での五輪出場権を手にした。さらに5月末から始まったネーションズリーグでは決勝に進み、銀メダルを手にした。世界ランキングは2位で、まさにライジングサンの勢いだ。

ここまでチームが成長したのは、コンビネーションなど東京五輪の時から積み重ねてきたものもあるが、「レシーブ力」が格段に増し、守備力が上がったのが大きい。世界レベルではどこの国もサーブ、スパイクは素晴らしい。だが、レシーブは日本ほど良くはない。日本は、そこにフォーカスし、レシーブを磨いてボールを拾いまくるバレーでネーションズリーグの決勝に進出した。パリ五輪でもレシーブ力が大きな武器になるだろう。

また、選手個々のレベルアップがチーム力を爆発的に上げているのも大きい。イタリアでプレーする主将の石川祐希、帰国した西田有志はともに「海外の経験が大きい」と語る。サッカーもそうだが、選手が海外の強豪チームでプレーすることで個人戦術が飛躍的に向上し、相手が常に外国人選手なのでビビらずにプレーすることができる。

その経験値は想像以上に大きく、今の日本の選手を見ているとどんな相手にも自信を持って「負けない」という意識でプレーしているのが見て取れる。宮浦健人、髙橋藍も海外経験者であり、選手層でいえば世界トップレベルにあり、それが「史上最強」とも言われている所以でもあろう。

パリ五輪では世界ランキング2位の日本はプールCでアメリカ(5位)、アルゼンチン(8位)、ドイツ(11位)と同組にあるが、油断さえしなければ決勝トーナメントには進出できる。そこから勝ち上がり、72年のミュンヘン大会以来、52年ぶりのメダル獲得に臨む。