マリンピア日本海の人気者カマイルカ。先週、4年連続で赤ちゃんが誕生しました。元気な赤ちゃんに会うために‥母イルカとトレーナーの奮闘を追いました。

新潟市中央区のマリンピア日本海。その人気者、カマイルカです。
カマイルカという名前は、背びれが鎌のように見えることが由来とされています。

この夏、出産を迎えたのが26歳のイッチです。

赤ちゃんの姿が確認できたのは、21年11月。日々の健康チェックで妊娠の兆候が見られ、エコーで赤ちゃんの心拍が確認されました。

実は、イッチ、マリンピアでの妊娠は2回目です。3年前に、オスのジャックを出産しました。ジャックは、順調に育ち今では立派に泳いでいますが、カマイルカは、水族館での出産例が少なく、出産・飼育は非常に難しいと言われています。

【マリンピア日本海 野村卓之館長】「手助けするっていうんですかね、母親が上手く育てられなくて取り上げて人口哺育するとか。育っていくのも含めて難易度が高いと言われている」

国内での出産例は、これまで76例ありますが、飼育に成功したのは23例に留まっています。

しかし、マリンピアでは、2019年のイッチの出産から3年連続で赤ちゃんが誕生し、無事に成長中。全国の水族館でも前例がありません。

【マリンピア日本海 野村卓之館長】「最初の年に比べたら、力を入れるところの整理がついてきて、みんな慣れてきた感じがします。。3例と同じような感じで上手く育ってくれるといいなって思います」

出産を支える一人がトレーナーの安藤みはるさん28歳です。3年前、イッチの初めての出産からイルカの飼育を担当しています。

【マリンピア日本海 安藤みはるさん】「早く会いたいですけれど、予定より早く来るとびっくりしちゃいます」

カマイルカの妊娠期間は、およそ340日。赤ちゃんイルカの様子は、週に1回エコーで確認しています。

【マリンピア日本海 安藤みはるさん】「胎児の心拍が確認できたので大丈夫かなという感じ」

イッチの出産予定日は、8月10日ごろとされていました。

【記者リポート】「イッチの出産予定日まで残り1か月10日あまり。母イルカはこちらのプールで出産を迎えます。きょうは出産に向けての準備作業が始まりました」

【安藤さん】「もう一個あるの誰か受けとって頂けると嬉しいです!わ、こわ!」【安藤さん】「こっち側って、穴の開いてる所この針金で頑張って通すしかないんだっけ?」

設置していたのは、プールにあるへこみや隙間を埋めるガードです。

【マリンピア日本海 安藤みはるさん】「産まれてすぐはヒレもまだふにゃふにゃしているというか、カチッとしていないので、母親に支えられながら泳いでいる状態です。隙間とかに入ってしまったりとかぶつかったりするのを防ぎたいので」

赤ちゃんイルカが、壁に衝突したり、隙間に入ったりすると呼吸が出来ず、死に至ることも…。

プールの整備のほかに、イッチとスタッフの訓練も重ねました。

【マリンピア日本海 石田茉帆さん】「コーナーを上手く曲がれなくて、壁に激突してしまうことがあるので、それをサポートするために私たちはプール脇に立つので、その練習です」

人間用のフィンなどを使って、親子が壁に激突しないよう泳ぎを誘導する練習です。

【マリンピア日本海 安藤みはるさん】「泳ぎが安定するまでは一番しっかりしないといけない時間なので、そっちの方がどちらかというと大変かなと思います」

【マリンピア日本海 石川訓子さん】「正常分娩できなかった場合、子どもを引っ張り出すって書いたんですけれど…出来る気がしません」

【マリンピア日本海 安藤みはるさん】「イッチを捕まえるのは無理だ!」

万が一を想定しつつも、不安は拭いきれません。

【マリンピア日本海 安藤みはるさん】「3回見ているけれど、毎回違うので、産まれてくる子によって全く違うので、今度はどんなことが起こるかなって。楽しみなのと、不安なところとあります」

8月9日、当初の予定日まであと1日。その時はやってきました。朝5時、イッチが破水したというのです。

「もうそろそろかなぁ」