長期化するウクライナでの戦争。戦火を逃れ、日本で避難生活を送るウクライナ人家族の初めての夏祭りに密着しました。言葉もわからず、心細い中でも少しずつ交流が深まっていました。
三女が描いた絵にこめられた故郷ウクライナへの思い

2022年6月、ウクライナから避難してきたオレーナ・デルカッチさん一家。オレーナさん(41歳)は、安城市で受け入れを支援している髙橋想子さんとSNSを通じて知り合い、日本へ避難してきました。
家族は、夫のヴァレリさんと3人の小学生の娘。愛知県安城市内の県営住宅で新たな生活を始めたのです。
(ウクライナから避難・オレーナさん)
「多くの支援をしてもらってとても感謝しています」
日本に避難してから約2ヶ月が経ちました。

3人の子どもたちは、7月から市内の公立小学校に通い始め、今は夏休み。次女のアルビナさん(10歳)がひらがなの勉強の教科書を見せてくれました。
(次女・アルビナさん)
「ひらがなの勉強。夏休みの宿題はもう全部終わったよ」
宿題とともに置いてあった一枚の絵。描いたのは末っ子のエリザベータさん(6歳)です。
(三女・エリザベータさん)
「(Q何の絵を描いたの?)おばあちゃんの家」
その絵は、ウクライナにある祖父母の家の風景でした。
(次女・アルビナさん)
「私は祖父母が大好きなので、祖父母がいなくて寂しいです」

祖父母がいるのは、ロシアとの国境に近いウクライナ東部の街・ハルキウ。自分たちの土地を守るため、国外に避難せず今もウクライナに残っているといいます。
(ウクライナから避難・オレーナさん)
「私の両親が住む町では、今もロシア軍による攻撃や占領が続いていて、連絡を取るのも難しい状態です。子どもたちもおじいちゃんとおばあちゃんのことが大好きで、毎年夏には田舎に帰って一緒に過ごしていました。子供たちは好きな絵を描くことで、寂しい気持ちを紛らわせているのかも」
ウクライナでの経験を活かして内装関係の仕事に

夫のヴァレリさんは7月から内装関係の仕事を始めました。今のヴァレリさんの主な仕事は、壁紙や「幅木(はばき)」と呼ばれる板の張替え作業です。
(トータルメンテナンスDH・久原慎太郎代表)
「ヴァレリ、幅木を張っていってください」
(夫・ヴァレリさん)
「OK」
翻訳機でやりとりしながら作業を進めます。
(トータルメンテナンスDH・久原慎太郎代表)
「母国で内装をやっていたというので、うちでやってみようかと(声かけた)。国柄でやり方は違うが、手は慣れているので飲み込みが早い」

ウクライナにいる時も内装関係の仕事をしていたというヴァレリさん。
(夫・ヴァレリさん)
「やっている仕事はウクライナと同じですが、日本の夏はとても暑いですね」
ヴァレリさんが働くのは、週に3日から4日。収入は、月15万円ほどです。
(夫・ヴァレリさん)
「日本で妻や娘たち家族を養うためにも働かせてもらえるのはありがたい」