「氷をガリガリ食べるのが好き」という人は、少し注意が必要かもしれません。そして水の飲みすぎにも危険が…。夏本番を迎えるにあたって気をつけるべき「氷と水」について、葛西医院・小林正宜院長への取材などをもとに情報をまとめました。
あなたは心当たりある?氷を大量に食べる『氷食症』
「氷をやたらと食べる人」が、実は結構いるようです。『氷食症』と言われています。暑さしのぎに食べる程度なら問題ありませんが、日常的にほぼ毎日大量に食べている人や、暑さと関係なく冬も食べている人などは、一度心配してみてください。飴を食べると糖分を摂ってしまう、水を飲み続けるとお腹が“ちゃぽちゃぽ”してしまう、ということで、半ばダイエットのつもりで食べる人もいるようです。
「後から考えると、氷食症だったのかも」という60代女性に話を聞くと、「40代ぐらいから氷をおいしく感じるようになった。グラスにいっぱい氷を入れて、お茶や水を飲み、残った氷も必ず食べる。1日に朝・夜の2回。2杯目を食べることも」とのことでした。また、細かく砕いた氷では物足りず、ある程度大きいものを“ガリガリ”と食べたいと思っていたそうです。
氷の食べ過ぎ=貧血!? 「ガリガリしたい!」は病気のサインかも
氷の食べ過ぎがなぜ問題なのか。実は貧血の人に氷食症が多いようで、つまり氷食症は病気のサインかもしれないのです。
葛西医院・小林正宜院長によりますと、貧血で受診される方に「氷をよく食べませんか?」と聞くと、「先生、何で分かったんですか?」と驚かれたということです。
自律神経のバランスが崩れたときに食べたくなるのでは?口の中の温度が高くなったときに食べたくなるのでは?など、さまざまな推測がされていますが、今のところ、貧血で氷を食べたくなる理由は解明されてないそうです。
先ほど例に挙げた60代の女性は、血尿をきっかけに子宮の病気が見つかったとき、自覚はなかったものの貧血と診断されたそうですが、「そういえば最近よく氷を食べるな」と思っていたということです。そして、治療後は氷を食べたくなくなったそうです。
貧血になると、疲れやすくなったり、めまい・ふらつきが起こったりと、生活に支障をきたします。そのサインの一つが氷食症かもしれません。
軽く見られがちなこともある貧血ですが、注意が必要です。というのも、ある程度の期間貧血が続くと『心不全』のリスクが高まるからです。貧血は、体の隅々にまで酸素を送り届ける赤血球内のヘモグロビンが足りない状態。そうすると、心臓の力によって酸素を送るようになります。つまり心臓の負担が大きくなるので、心不全リスクが高まるのです。