静岡市の山中で、事業費400億円を超える防災工事が続いています。東海道の大動脈を地すべりの脅威から守るプロジェクトです。
駿河湾を望む静岡市清水区の由比地区。ここで、国が総事業費428億円をかけた大がかりなプロジェクトを進めています。
<国交省富士砂防事務所 中本有朋地すべり対策課長>
「こちらが深礎杭の工事現場」
Q.深さは?
「約79m。このあとコンクリートを打ってひとつの支柱にする工事」
深く掘った穴にコンクリートを流し込み、巨大な杭を作るこの工事の目的は「地すべり対策」です。
地すべりは、固い岩盤層と、その上のすべりやすい層の間に大雨などで地下水が流れ込んで、斜面の上の部分がすべり落ちる現象です。このすべりやすい層と岩盤層を巨大な杭でつなぎ止めることで、地すべりを起こりにくくします。工事中の穴の下を見てみると…。
<国交省富士砂防事務所 中本有朋地すべり対策課長>
「いま地上から60m下に立っています。最終的に77.5mまで掘り下げます。朝7時から夜7時までやって1日の日進量が30cm。それしか進まないという場所。一番固い支持地盤なので。掘り終わるのに7ヶ月。その後に鉄筋を組んでコンクリートを入れる作業に3〜4か月かかる」
1本打つのに10か月以上かかるこの杭を、由比地区のさった峠に68本も打ちます。これほどまでに大規模な対策を取るのは、ここが東海道の大動脈だからです。
<国交省富士砂防事務所 中本有朋地すべり対策課長>
「こちらにはJR、国道1号、東名高速道路。やはりここが地すべりで崩れると甚大な被害になる。それを防ぐために国が直轄として工事する」
<牧野克彦アナウンサー>
「地面をえぐり取ったような感じになっています。線路の上り下りともに完全に覆っています」
実際に、由比地区では2014年の台風で地すべりが起こり、JR東海道線が11日間も運転を見合わせました。
<国交省富士砂防事務所 中本有朋地すべり対策課長>
「最近よく言われるのは雨の降り方が違うということ。雨が降ると地下水が上がる。地下水が上がると浮力や外力が増えるのでなるべく地下水を上げない。要は『水を抜く』という対策もあわせてやっている」
国は巨大な杭打ちと共に、地すべりを引き起こす地下水を抜くための排水トンネルの整備も進めていて、これらの対策工事は17年も続いています。
<国交省富士砂防事務所 中本有朋地すべり対策課長>
「もしこの工事がなかったらどうなるか…なかったら、こうなっちゃう」
国は、この巨大プロジェクトを少しでも地域の人たちに知ってもらおうと、親子向けの見学会を開いています。
<見学した小学生>
「地すべりとか土砂崩れは知ってたんですけど、(防ぐ)取り組みをしてること自体は知らなくて。すごい大きなことをやっているんだなと思って、もっと色んな人に知ってほしいなと思いました」
交通の大動脈が抱える弱点を、いかに克服するか。工事完了は2030年を予定しています。
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