広島市がことしから始めた被爆体験の「家族伝承者」が、肉親からの聞き取りを進めています。

祖母に被爆体験を聞く長見たかみさん
「8月6日にどうやって過ごしていたかを…。6日ね、朝ね…」

広島市佐伯区の長見たかみさんは、祖母の小田愛子さん(91)の被爆体験を夏休みの子どもたちと一緒に聞き取りました。


小田さんは、14歳のときに学徒動員で働いていた天満町の工場で被爆。顔の左半分にガラスが刺さるなどの大けがをしました。


小田 愛子 さん
― ばあちゃん、こっち側に傷があったんよね。
「ほうよ。ぐしゃぐしゃだったんよ。ガラスが立ってね。そしたらウジが湧き出してね。ウジ、知らんよね。知っとる? ちっちゃいんよ」


長見さんは、ていねいにメモをとりながら話を聞いています。


「家族伝承者」制度は、広島市がことしからスタートさせた制度で、先月、研修を終えた研修生たちは、実際に家族からの聞き取りを進めています。


長見さんは、伝承者としての活動をきっかけに、小学生になる自分の子どもたちにも祖母の体験を受け止めてほしいと考えています。


長見 たかみ さん
「祖母も高齢になっているので、一緒に過ごせる時間は貴重な時間だと思う。子どもたちにも事実を知っておいてほしいなと思っています」


家族伝承者としての活動は2年後にスタートする予定で、それまでの間は何度も聞き取りを繰り返します。