◆「血がいっぱい」「顔が真っ青」交際相手の証言

26日の公判では、交際相手の技能実習生が証言台に立ち、自宅に戻りグエット被告を発見した当時の様子を語った。
被告の交際相手の男性(技能実習生)「ドアを開けると血がいっぱいありました。グエットさんは部屋の中央に横たわって息が弱いように見えました。周りにも血がいっぱいあり、顔色も真っ青でした。何も考えられずに『とにかく病院に』と思いました。血は壁、床、トイレ、浴室、寝室にもついていました。」
そして、弁護人の質問は、妊娠をめぐる技能実習生の認識に及んだ。
弁護人 Q:日本に来る前、ベトナムの送り出し機関から「妊娠したら帰国させる」と言われましたか?
―聞いていました。
弁護人 Q:はっきり覚えているのはどうして?
―監理団体などが(現地に赴いて)何度も繰り返し言っていたから。
弁護人 Q:日本に来てからルールを教えてもらった?
―「異性の住んでいる所へ遊びに行ってはいけない、交際してはいけない」と(言われていました。)
弁護人 Q:勉強会で実習生同士の恋愛に注意を受けた?
―はい。
弁護人 Q:どんな注意でしたか?
-私とグエット被告、このまま(交際を)続けていたら経済的に1か月休むという罰を受けるかもと言われました。
弁護人 Q:監理団体から「『妊娠したら帰国させる』などと言われたと誰かに言ってはいけません」と言われましたか?
―はい。「警察か何かから聞かれたら『ウェブで検索して見た』というふうに答えてください」と(言われました。)
◆「妊娠したら帰国させる」と何度も繰り返し…

弁護側は、グエット被告が事件当日、経験したことのない陣痛に見舞われて死産に至り、羊水や血液が滴り落ちる遺体を裸のままにしておくことはできないとビニール袋に入れたと説明。監理団体から「妊娠したら帰国となる」旨を繰り返し説明されていたことから、グエット被告は帰国させられないようにするにはどうしたらいいか考えながらも、体力の限界を迎え、すぐそばにあったごみ箱の上に遺体をひとまず置いたと主張した。また、被告は「体力が回復すれば遺体をごみ箱から取り出そうと考えていたものの、入院しなければならなくなった」とも主張。「遺棄」はなく、死体遺棄の故意もあったともいえないとして、「グエット被告は無罪」とした。