【参考】検察側が説明した事件の経緯と状況
検察側は事件の経緯や状況を次のように説明した。
【2023年7月】
グエット被告が食品製造会社で技能実習生として働き始める。
【2023年12月】
グエット被告は自分が妊娠していることに気付いた。勤務先に相談するとベトナムに帰国させられるかもしれないと思い、妊娠したことを周囲に相談できなかった。
【2024年2月2日】
グエット被告は博多区の勤務先に出勤したが、勤務中に腹痛に耐えられず午前10時ごろ早退。交際相手の家に帰宅した。その後、トイレで男児を出産した。死産だった。夕方、交際相手が帰宅すると、グエット被告がリビングの床に横たわっていた。服や床は血で汚れていた。交際相手は知人とともにグエット被告を病院へ連れて行った。その後、被告は別の病院へ緊急搬送された。グエット被告は病院を訪れた技能実習生を支援する組合の職員や警察官に、男児をごみ箱に捨てた旨申告した。警察官がその後、交際相手の家のごみ箱内から男児の遺体を発見した。
◆今後の裁判
弁護側は無罪を立証するため、専門家による3つの意見書の提出を予定している。
(1)産婦人科医の意見書
死産を迎えた被告の精神状態や体の状態はどうだったのか立証する
(2)刑法学者の意見書
「死体遺棄」はどういうものなのか、刑法の解釈について
(3)ベトナムの弁護士の意見書
ベトナムでの亡くなった方の弔い、埋葬、習俗慣習に関するもの
裁判は、次回7月1日に追加の証人尋問(監理団体の通訳者・同僚の技能実習生)、8日のグエット被告の被告人質問を経て、判決が言い渡される予定。
シリーズ:孤立出産で罪に問われる女性
交際相手の家のごみ箱に死産した赤ちゃんの遺体を遺棄したとして起訴され被告人となった、20歳のベトナム人技能実習生の裁判。技能実習生はなぜ孤立出産にいたったのだろうか。
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