ーー政府や米側の対応について識者はどう考えていますか

沖縄国際大学の前泊博盛教授は日米政府の対応について、「事件発生の危機的状況を隠蔽しひそかに処理した重大な問題」だと批判しています。


また県が事実を知らされなかった空白の3か月については、「県議選後の公表」に政治的な配慮・思惑を感じさせる、人権よりも政治、政局を優先する日米両政府の姿勢が示されていると指摘しています。

自衛隊配備や日米共同演習など県内で進む軍拡に対する県民の反発を抑える目的も
あったのではないかと話していました。

玉城知事が今回、情報共有がなかったことについて憤りを述べている一方で、外務省や県警は「被害者のプライバシーへの配慮」を報告しなかった理由にあげています。

今回の件は防衛省にも正式な連絡がなかったようで、防衛省関係者の1人は外務省の対応を「センスがない」と一喝し、「県と政府の対立が目立ったなかで何かしらの配慮があったとみられるのもしょうがない」と話していました。

もちろん被害者のプライバシーは十分に配慮されるべきものですが、過去の事案では、プライバシーに配慮して広報はされないものの検察・県警・外務省が県に情報を提供し、県も表立った発表はせずに政府と足並みをそろえて抗議や被害者のケアにあたっていた、というケースもありました。

県が言っているのはなにも「被害者のプライバシーを公表しろ」ということではありません。

米軍基地を抱える行政として、県民の安全を守る、責任ある対応を取るために必要な情報さえも与えないのはどうなのか。米軍が起こした事件の一報さえ知らされないことは基地を多く抱える沖縄にとって自らの暮らしを自らで考える事さえできないということに等しく、政府はこの状況を重く受け止めるべきです。