NBC長崎放送の報道現場では、8年前にドローンを本格導入し、毎週ドローン映像を紹介するユニークなミニ番組も放送している。そもそもドローン活用のきっかけとなったのは、長崎で起きたあの未曽有の火山災害だった。そして、担当者(長征爾記者)がドローン導入以来のこれまでの8年間の取り組みを振り返る。

ドローンで普賢岳の溶岩ドームに接近して撮影

その時、手元にあったドローンの送信機モニターには雲仙普賢岳の巨大な溶岩ドームとその下に広がる島原市上木場地区の被災地の様子が映し出されていました。

ドローンが飛んでいるのは1500メートル彼方で、目視では機体が見えない距離です。そうした状況にありながらドローンは溶岩ドームすれすれの高度を維持し、映像は溶岩ドームが今も不安定な岩塊であることを伝えてきます。30年前、雲仙普賢岳の火山災害が続いていたころはヘリコプターでも撮影が難しかった映像でした。

普賢岳溶岩ドームとふもと(2017年4月、ドローンによる撮影)

普賢岳溶岩ドームのドローンによる取材はドローンを使い始めたときから考えていた撮影手法で、その実現のためにドローン使用を日常化しスキルを上げてきました。30年前の大災害時にはやりたくてもできなかった取材でしたが、時間が技術の進歩をもたらし、映像取材の手法に新しい可能性をもたらしたことを実感した瞬間でもありました。

当初は雲をつかむような取り組みだったドローンの報道現場での活用。8年間のNBCでの取り組みの歴史です。

ドローン番組で長崎県内約300か所を撮影・放送

NBC長崎放送では2016年にドローンを導入しました。常に報道的な使い方をしているわけではなく、通常は毎週2分半のドローン映像番組「ふるさと再発見長崎ばーどアイ」を放送しています。スポンサーにもついていただき、放送も今年で8年目に入りました。

取材対象としているのは長崎県内の名勝や歴史的な建造物、自然など。一年間に50本出しているので単純計算で350か所、ダブりを差し引いてもおよそ300か所を放送してきたことになります。放送実績だけでなく「資料映像」として使える映像も大量にストックすることができました。

長崎港口にかかる女神大橋をぎりぎりで通過する大型客船クイーン・メリー2

とりあえず“安定飛行”をできるまでになりましたが、ここに至るにはいろんなきっかけや色々と助けていただいたその道のプロの方がいました。