世代を超えた交流の場になっている、サッカー部の寮食堂

体操教室の後、希望者は、寮食堂のシェフ特製、スパイスをほどよく利かせたワンコイン、500円のランチの時間です。

教室を手伝っていた若いコーチの家族、赤ちゃんもいて、参加者の会話も弾みました。

「昔は子どもが多かったから、活気があった。いま、活気がないもんね」という言葉に対し、「ここができて、多少は変わってきたなと思う」という人も。ほとんどの方が40年、50年暮らしていますし、暮らす環境は良いと感じていて、みなさん「終の棲家」にするつもりのようでした。そして、サッカー部の次の試合に行こうという話も。「みんないい子。みんな孫みたいなもの。どこでも、この辺で会えば、あいさつしてくれる」。赤ちゃんもすっかりおなじみで、参加者が交互にだっこしていました。

神大喫茶の日のカレーランチ

竹山団地で得られる「様々な経験」

介護予防教室は横浜市の委託で補助があり、手伝う学生にはアルバイト代も出ます。そして、長年住んでいる人たちから得られるものがあるようです。サッカー部の大森酉三郎監督は「竹山団地に住んでいる人たちは、自分たちの街、故郷という意識が強い。地域の教育力が高いので、そこで育んでもらえている、というのはほんとラッキーです。地域の方は、我が部のコーチ、という感じです」と話します。

介護予防教室を手伝っていましたが、普段は、「神大喫茶」の店長という4年生、佐藤瑠意さんは「自分が何かちょっとお手伝いできることがあったら、お手伝いをした後に、煮卵を煮たから取りに来なよ、とか言ってくれたりとか、そういうやり取り一つ一つが自分にとってはすごく幸せです。大学に入るまであんまりサッカー以外で人とコミュニケーションを取るっていうことがやっぱりなかったので、いろんな方とほんとコミュニケーションをとるようになって自分自身本当に、人として成長できたなっていうのが一番感じられますね」と話していました。

大森監督は「様々な社会課題のある団地では様々な経験ができる。地域が元気になり、学生の成長にもつながる。サッカーのプレーにも反映するし、これからの人生にも大事です」と話します。学生は卒業する一方、新入生が入ります。活動のやり方は変化しながらも続け、成果をゆっくり積み重ねていきたいということでした。

一階が竹山団地の中央商店街

神奈川大学サッカー部のこうした活動は、団地内の病院、福祉関係者、学校、自治体、そして住民との協力、連携の中で行われ、竹山団地にこれからも多様な人が住み続けられることを目指しています。時間をかけて注目していきたい試みです。

(TBSラジオ「人権TODAY」担当: 崎山敏也)