シロアリ駆除にアリは有効?

ーヤマトシロアリの天敵がアリということは、アリを利用して駆除もできるのでしょうか。

(大野さん)
「うまくアリを利用して駆除ができればいいのですが、アリも言うことを聞いてくれるわけではないのですからね。家の中にシロアリが来ては困るから先にアリに巣を作ってもらう、ということになるでしょうか」

「でも、シロアリの天敵のアリも人にとっては害虫になってしまいます」

「例えば、野外でシロアリの巣の近くで見かけることがある『オオハリアリ』という種類の肉食系のアリがいますが、シロアリばかりを食べるというわけではなく、もっと他の大きな獲物や私たちの食べ残しなどを狙っていることも多いですし、近くにいても興味をあまり持ってくれずに別々の生活を送っていることもあります」

「何より、このオオハリアリ、名前の通り針を持っていて、ハチのようにヒトを刺してくることもあります。ちなみに、当たり前ですが刺されると痛いです」

「天敵を利用して害虫や害獣駆除、という考え方はかつて世界各国興味をもってやってきましたが、ほかの場所から天敵を連れてきて自然に任せたケースで成功した事例はほとんどなく、かえって変な問題を引き起こしたもののほうが多いです」

「農業などのコントロールが十分にできる範囲の天敵防除は有効なものが多く知られるようになりましたが、あくまで限定的。結論として、アリを使ってシロアリ駆除は現実的にはなかなかうまくいかないでしょうね」

コンクリート建築なら大丈夫??

ーコンクリート建築ならシロアリの被害をうけませんか?

(大野さん)
「コンクリート建築だと大丈夫か?というとリスクは低くなりますが、いないことはありません。ひび割れから上がってきたり、水漏れや水たまりがあって木があればマンションでも出ます」

ーえ!マンションでも油断できないのですね。

(大野さん)
「弊社にシロアリ専門のスタッフがいていろいろ話をするのですが、マンションでも低層階では時々相談をいただいています。高所は水がないせいもあり、あまり広がっているのを見たことはありません」

ーということは、水漏れや水たまりがないような状態にしておくことが大切ですね。

(大野さん)
「もちろん、そういうことができればいいですね。でも、みなさんのおうちの中、といっても例えば床下や壁の中、排水溝の流れていく先、たぶんそういったところは見えないですし、想像されることも難しい場所ですが、シロアリの被害はそういったところから広がってきます」

「床下換気扇や調湿材などを利用して乾燥に気を付ける、というのも一つの予防手段ですが、なかなかそこまでのところまで気は回らないですよね。シロアリたちも生きることに必死で、最初に何とか巣作りが始まったら、水があまりない場所でもトンネルを伸ばして水を採りに行ってなんとか生き残ろうとします」

「このトンネルを蟻道(ぎどう)と言いますが、ヤマトシロアリなどはこの蟻道を水採りや餌採りのためにせっせと伸ばします。もしおうちにこんな土でできたどこかにつながっている細いトンネルがあったら要注意です」

ーそんなところにあるトンネルを、見つけられる気がしません。